「女性から見たかっこいい女性は揺らいでいると改めて感じた」映画『ラストマイル』満島ひかりインタビュー

「女性から見たかっこいい女性は揺らいでいると改めて感じた」映画『ラストマイル』満島ひかりインタビュー

オールスタームービー『ラストマイル』でヒロインを演じる満島ひかりさん。映画館の大画面を掌握するそのパワーと存在感はやっぱり別格。会うたびに我々もその野生動物のようなしなやかさに魅了されます。さて、今回は直球のスタジオ撮影。シンプルだからこそ強い。カメラを見つめる瞳の吸引力たるや!


 


満島ひかりさんが約2年ぶりに新作映画『ラストマイル』を引っ提げて、銀幕に帰ってきた。「これまでにない役」への冒険と見つけたこと、さらにその先へ—。旅路を語る。

女性から見たかっこいい女性は

「揺らいでいる」と再発見した

宇宙から舞い降りた少女のようなネオ・網タイツルック。トップス¥49,500※インナーブラとセット、スカート¥35,200、タイツ※参考商品(全てアンス ドッツローヴナー)、ブレスレット¥198,000、指に着けたゴールドピアス¥71,500(共にシハラ/シハラ トウキョウ)

—完成品をご覧になって、いかがでしたか?


 


「改めて感じたのは『女性から見たかっこいい女性は揺らいでいる』こと。今日かっこよかったのに明日になるとへにょっとしちゃうような、強さの中に戸惑いと柔らかさを内包している姿が、素直でかっこいいと再発見しました」


 


—となると、今回の満島さんのアプローチは正解ど真ん中だったのではないでしょうか。


 


「脚本の野木さんと塚原監督の、采配のすごさですよね。そういえば、撮影中に塚原監督から『何を考えたらその顔ができるの?  この顔を役者さんにしてほしいときがあるのに、そのための言葉が私には見つからない』と言われたことがありました。私も意識してやっていたわけではないのでうまく答えられなかったのですが、実はめちゃくちゃ嬉しかったんです」


 


—『ラストマイル』は本当に得るものの多い作品だったのだな、と伝わってきます。


 


「私の中ではその前の作品『First Love 初恋』でひとつ区切りがあって、きっと新しい筋力・違う可能性を模索したい時期でした。新人のようなつもりで『ラストマイル』の現場に入って、不安定な部分もたくさんありましたが、大胆な冒険の姿も映っている気がします。働き方も、本作以降は『翌日の撮影までに12時間空ける』&『週休2日』をキープしています。それでも気持ちに余裕がなくなるときも眠れなくなる夜もありますが、フィジカルの健やかさは増えました。そうやって風を通せば、スタッフさんが休める時間も増えますしね」

ボリューミーな淡いピンクのコートを抱いて。アウター¥2,745,600、ボディスーツ¥220,000※参考価格、サンダル¥364,100※参考価格(全てアライア/リシュモン ジャパン株式会社 アライア)

—働き方改革、とても素敵ですね。何か踏み切るきっかけはあったのでしょうか。


 


「『のめり込んでいないと怖い』、誰かのために過度に頑張っちゃう自分を終わりにしたかったんです。こわばったり傷ついた心身とか、硬くなる瞬間をできるだけ解きたい想いもありました。〝力を抜いたほうが高く跳べる〟と言いますが、本当にそうですよね。習慣にするにはもうちょっと時間がかかりそうですが」


 


—満島さんは、ご自身の可能性をどうご覧になっているのでしょう。


 


「どんな人も本来のポテンシャルの2割も使っていないとよく耳にして、ひゃーと感じます。失敗に思えることも角度を変えて見たり、時代を超えて俯瞰したり、自分の身に置き換えると可能性は無限にあると思います」

『ラストマイル』


Story_流通業界最大級のイベント「ブラックフライデー」前夜、世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。やがて連続爆破事件へと発展するなか、巨大物流倉庫の新任センター長・舟渡エレナ(満島ひかり)は事態の収拾に奔走する。監督:塚原あゆ子/脚本:野木亜紀子/出演:満島ひかり、岡田将生、ディーン・フジオカ、火野正平、阿部サダヲほか/配給:東宝/全国東宝系にて公開中


 


Profile_みつしま・ひかり/1985年鹿児島県生まれ、沖縄県育ち。1997年に音楽ユニット「Folder」でデビュー。その後は俳優業を中心に歌い手・書き手としても活躍。60役以上の声を担当するアニメ「アイラブみー」(NHK Eテレ)、ラジオ「ヴォイスミツシマ」(NHKラジオR1)がレギュラーで放送中。初の著作本「回文物語集『軽いノリノリのイルカ』」(マガジンハウス刊)を7月に発表したばかり。いくつかの音楽ライブも控えている。

photo:MITSUO OKAMOTO styling:TOMOKO KOJIMA hair:KEIKO TADA[mod’s hair] make-up:NAOKI ISHIKAWA

set design:HARUKA KOGURE model:HIKARI MITSUSHIMA interview & text:SYO

otona MUSE 2024年10月号より

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