メイクやヒールは“強要NG”とされてるけど…
「男性もスキンケアくらいするべき」「清潔感はもはやマナー」――。そんな“風潮”が、今日強まっているようです。女性に対して企業などがメイクやヒール靴を強要するのはNG、という共通認識が広まるのとは、まるで相反するような流れ。これは一体何を表しているのでしょうか。
2024年9月上旬、ウェブサイト「はてな匿名ダイアリー」に投稿されたある記事が注目を集めました。タイトルは「清潔になりたい男たちへ」。肌、髪、ヒゲや眉毛などについて、どうケアすれば“清潔感”を得られるのかを3000文字を超える文量で事細かに解説しています。
清潔感という言葉は、現代の恋愛や婚活シーンにおいてもはや必須ワード。Googleトレンドで単語検索すると、2000年代まではほぼ使われていなかったにも関わらず2010年代に入って以降、右肩上がりを続けています。
消費者購買行動データなどをまとめるmitorizが同年8月、20代以上の女性3001人を対象に行った「スキンケアに関する調査」では、「男性も積極的にスキンケアをすべき」と考える女性の割合は53.8%と過半数(「思う」「そう思う」の合計値)。この傾向は若い世代ほど強く、20代は65.3%に上りました。
SNSにも、男性に対してスキンケアを求める女性の声があふれています。
「肌が汚いとどんなに頑張っても“清潔感無さ男”になる。スキンケアは大事」「男もスキンケアして、目立つシミとかクマあったらコンシーラーで隠す、眉整えるといい」など、善意から来るとみられる“アドバイス”を発信するユーザーがいるかと思えば、「男ならクレンジング、洗顔、ヒゲそり美容液、化粧水、乳液、たまにパック、日中は日焼け止め、コンシーラー付けて、眉毛、鼻毛、毛穴気を付けるくらいが顔面の努力として妥当でしょ」「男もスキンケア必要だよ??w 油まみれの汚え面どうにかしろ」と、“煽り”とも取れる書き込みをするユーザーも。
また、「デートで髪の毛ぼさぼさノーメイクで来る女なんていないんだから、男もスキンケアと筋トレくらいしろよ」「キモオタに限って絶対スキンケアしなさそう」など、女性はやっているのだから男性もやってしかるべき、と考えるユーザーも少なからずいる様子です。
ニュースサイト「弁護士ドットコムニュース」は同年7月13日、『「すっぴん禁止」はセクハラ? 特定の女性社員だけに化粧の指示 「納得いきません」』という記事を配信。「特定の女性に対してだけ会社や上司がスッピン禁止とし、化粧をするよう強要することはセクシャルハラスメントに該当するといえる」と指摘しました。
他方、女性が男性に対して匿名のSNS上で「男もスキンケアくらいしろ」と発言するのは、上記のケースとは当然異なりはするものの、とはいえ他者の外見や身だしなみなどセンシティブな話題に過度に踏み込むことは、現代の感覚的にはNGとなりつつあると言えそうです。
SNSでは「やりたいと思う人、やることでメリットがあると思う人がやればいい。強要するものではない」「女性たちは『社会からメイクを押し付けられてる』と言う割には男にもスキンケアを押し付けてくる」「昨今のルッキズムはもはや行き過ぎでは」など、現状を憂う投稿も散見されます。
(LASISA編集部)
配信: LASISA
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