日本茶の種類
一口に日本茶といっても、飲まれているお茶の種類はさまざまあります。
日本茶の代表的な種類をいくつか見ていきましょう。
煎茶(せんちゃ)
煎茶は、蒸すことで発酵を抑えたお茶です。
茶葉の乾燥は数段階に分けて行われ、最終的に茶葉は針のように尖った形状となります。
煎茶に使用される茶葉は、露地栽培で日光をたっぷりと浴びさせたものです。
お茶にはみずみずしい風味と色味・爽やかな香りがあります。
玉露(ぎょくろ)
玉露も煎茶と同様に、蒸すことで発酵を抑えたお茶です。
製造方法は煎茶とほぼ同じですが、玉露の方がコクや甘味が強いといわれています。
玉露と煎茶の決定的な違いは、茶葉の栽培方法です。
煎茶が日光をたっぷりと当てて育てられるのに対し、玉露は新芽が出始めた頃から日光を遮って育てられます。
遮光率は70~90%にもおよぶため「ほぼ日光を当てない」と言っても過言ではありません。
お茶の渋味の由来は、光合成によって生成される「カテキン」です。
遮光栽培で育てられる玉露はカテキンが生成されにくく、甘味が強くなるというわけです。
てん茶(てんちゃ)
玉露と同様に、遮光栽培によって育てられた茶葉を使用するお茶です。
蒸して発酵を止めた茶葉を揉まずに乾燥させ、不純物をきれいに取り除いて作ります。
味わいの特徴は、渋味が少なくうま味が強いこと。
てん茶を粉末状にすると「抹茶」になります。
番茶(ばんちゃ)
番茶は、煎茶の製造課程で省かれた茶葉・夏以降の固くなった茶葉などを使用するお茶です。
製法は煎茶とほぼ同じですが、渋味や苦味は少なめ。
「香ばしい」などと評されることが多く、気軽な日常のお茶として愛飲されています。
なお番茶と似た風味の「ほうじ茶」は、煎茶や番茶の葉を水分がなくなるまで炒って作ったお茶です。
玄米茶(げんまいちゃ)
煎茶や番茶に炒ったお米を加えたのが玄米茶です。
さっぱりとした味わいで飲みやすく、香ばしい香りで人気があります。
茶葉にお米を加えた理由は諸説あり、詳しいことは分かりません。
「お正月のお餅を割ったときの欠片を入れてみたら、おいしかったため」「余ったご飯がもったいなかったため」などといわれています。
なお玄米茶という名前ではありますが、現在お茶に混ぜて使われているのは白米です。
参考:玄米茶とはどんなお茶?香ばしくて美味しい玄米茶の魅力をご紹介|煎茶堂東京オンライン
日本の銘茶・お茶どころ
日本茶は、地域によって味わいや風味が異なります。
日本三大銘茶と、有名なお茶どころについて見ていきましょう。
日本三大銘茶
▼静岡県:静岡茶(静岡茶、川根茶、掛川茶、東山茶)
日本のお茶の約4割を占めるのが静岡茶。
煎茶から番茶まで、さまざまな日本茶が生産されています。
中でも「藤枝市岡部町」は、高品質な玉露の産地として有名です。
▼京都府:宇治茶
高級茶として、広く認知されているのが宇治茶。
煎茶の製法は、江戸時代の宇治で誕生しました。
日本古来の茶摘み歌では「色は静岡 香りは宇治よ 味は狭山でとどめさす」と歌われています。
▼埼玉県:狭山茶
埼玉県西部や、東京都西多摩地域で栽培されているお茶です。
独特の風味と濃厚な味わいに定評があります。
日本のお茶どころ
写真協力:鹿児島県南薩地域振興局
お茶の生産量が多いのは、上から順に「静岡県」「鹿児島県」「三重県」(令和5年)。
全国のお茶の約9割は、これら3県で作られています。
静岡県:静岡茶(静岡茶、川根茶、掛川茶、東山茶)
鹿児島県:かごしま茶(知覧茶、かごしま知覧茶)
三重県:伊勢茶(伊勢茶)
このほか有名なお茶どころとして、以下があります。
愛知県:西尾茶
奈良県:大和茶
福岡県:八女茶(八女茶、福岡の八女茶)
佐賀県、長崎県:嬉野茶(うれしの茶)
熊本県:くまもと茶(くまもと茶)
宮崎県:宮崎茶
なお地域によって、お茶の特徴はさまざま。
例えば愛知県は「抹茶」、福岡県は「玉露」の産地として有名です。
また佐賀県・長崎県の嬉野茶(うれしの茶)は、蒸し製玉緑茶の品質の高さで広く知られています。
「全国茶品評会」蒸し製玉緑茶の部では、5年連続で1位を受賞しました。
参考:令和5年産一番茶の摘採面積、生葉収穫量及び荒茶生産量(主産県):農林水産省
配信: ASOPPA!