「子連れOK」と言うけれど……。
こんにちは、食文化研究家のスギアカツキです。『食は人生を幸せにする』をモットーに、「一生モノの能力を養う食育」についてさまざまな実践法を提案しています。
広末涼子さんの不倫相手として世間を大きく騒がせた料理人と言えば、鳥羽周作シェフ。2024年7月、自身のX上において、「なんか今更だけどうちのグループ全店舗は赤ちゃん子供オッケーにすることにします」と、手掛けるレストラン全店舗で乳幼児を歓迎する呼びかけを発信し賛否両論を生みました。
きっかけは、お客に「レストランに赤ちゃんダメですよねって聞かれて」とのこと。これを機に鳥羽氏自身の考えを改めて表明したかったようです。
この話題をきっかけに、いろいろ気になりはじめたという人は少なくないでしょう。そもそも高級レストランに乳幼児を連れて食事に行くことは、マナーの良いことなのか? 食事を楽しめるのか? モヤモヤしてしまいますよね。
そこで今回は、国内外の食文化やレストラン事情をリサーチしている食の専門家として、子連れ会食の経験を重ねている母親の立場として、少しでも安心につながる話ができればと考えました。
そして子連れでレストラン予約を検討している方々にとって少しでも参考になればうれしく思います。
「子連れOK」発言は“ヒーロー発言”にはならない
なんかレストランに赤ちゃんダメですよねって聞かれて
ダメじゃないって普通に思うけどそうじゃないお店ももちろんあると思うし
そこはそれぞれだけどなんか今更だけど
うちのグループ全店舗は赤ちゃん子供
オッケーにすることにします賛否あると思うけど…
— 鳥羽 周作 (@pirlo05050505) July 9, 2024
はじめに鳥羽シェフの発言「赤ちゃん子どもオッケー」について、冷静に考えてみましょう。結論から言いますと、言うのは簡単であるということ。
発言そのものが店の評価を押し上げたり、子育てママやパパを救うような実効性があるかはまったく別の問題です。ですから、今回の鳥羽氏のX上での発言だけで賛否を判断するには困難。そしてもちろんヒーロー扱いするのは過剰であり、本人もそれをねらって言ったわけではないと信じたいのです。
ちなみに子連れレストランでの食事について、よく言われる定説イメージがあります。それは、「日本は子連れに厳しいけれど、海外は寛容である」というもの。
実はこう言い切れるような時代ではありません。日本でも子連れ客に手厚い高級レストランはたくさん存在しますし、海外であっても子連れNGの店は多くあります。それでは、子連れ客が安心して食事を楽しめるレストランはどのような店のことを言うのでしょうか?
子連れOKな一流レストランの条件とは?
例えば、子連れOKのレストランについて、サービス、メニュー、設備などの細かいところをチェックしてみましょう。
乳児のおむつ交換、子どもが快適に食事ができるテーブルやイス、子どもが食事を楽しめるメニューや配慮など、どこまで具体的に用意されているでしょうか? これらが全くない、ほとんどそろっていないのに、子連れOKですと言われても、お客は快適な時間を過ごすことはできないでしょう。
つまり今回の鳥羽氏の発言は、レストラン経営・運営の視点を持つプロ発言というよりは、一般人へのリップサービス的な要素が強かったのかなと推測しています。そしてこの発言をどう感じるかは、受け取る人の状況や考え方によって違って当然です。
高級レストランではありませんが、私はある日、東京の老舗和菓子店に子ども3人を連れて行きました。ここは目の前で好きな生菓子を作って食べさせてくれるサービスがあり、事前に店側と認識合わせをすることにしました。
職人さんの話を聞けること、大声で騒ぐ性格ではないことを伝えつつ、和菓子や抹茶が初体験の子どもがいることなどを伝えました。お店は、和菓子のわかりやすい説明、苦味を甘くするような工夫などをしてくださり、子ども達にとって心に残る素敵な体験になりました。
このようにあらかじめ店と事前確認をすることは、店内で気持ちよく過ごすために重要なステップになるでしょう。つまり子連れに優しいレストランの条件とは、中身がしっかり伴っていることだと、経験を通して断言できます。
配信: 女子SPA!