話題のNetflixシリーズ「極悪女王」は9月19日配信スタート!
ゆりやんレトリィバァがダンプ松本に!? 企画・脚本・プロデュースに鈴木おさむ、総監督に白石和彌という強力タッグで贈るNetflixシリーズ「極悪女王」は、80年代カリスマ的人気で女子プロレス旋風を巻き起こしたダンプ松本の知られざる物語を描く半自伝ドラマ。
9月19日の世界配信を前にすでに大変な話題となっていますが、試写を見て、絶対に話を聞きたいと感じたのが、落ちこぼれとしてスタートしながらスターの階段を駆け上がる長与千種を演じた、唐田えりかさんでした。作品のプロレススーパーバイザーも務めた長与千種さんとのコミュニケーションから、衝撃の髪切りデスマッチシーン(!)の裏側まで、唐田さん本人に直撃してきました!
アノラックパーカー¥106,700(Sea New York/ブランドニュース)、パンツ¥66,000(Carter Young/エッセンス)、ブーツ¥22,000(スティーブ マデン/株式会社ダニュウ)、右耳イヤリング¥20,680※左右セットで、左耳イヤカフ¥17,380、チョーカー¥15,180、右手人差し指リング¥17,380、左手中指リング¥15,180(全てKNOWHOW/ノウハウジュエリー)、その他スタイリスト私物
代謝が上がりましたが、手持ちの服はぜんぜん似合わなくなりました
――「極悪女王」での長与さん役。すごかったです。当時の長与千種さんに見えました。
唐田 ほんとですか!?
――ええ、本当に。正直言って、ゆりやんさんの変貌インパクトは「そりゃそうですよね」って感じだったんですが、むしろクラッシュ・ギャルズのお二人には、どんだけ鍛えたらこんな姿になるんだ、ってびっくりしてしまいまして。
唐田 嬉しいです。トレーニングに関しては、約1年半みっちりとやっていたんです。撮影前はもちろんですが、撮影中も。
――撮影中も!?
唐田 そうなんです。私だけでなくみんなで一緒にからだづくりに励んでいましたね。
――練習や試合のシーンは、ほぼぶつかり稽古みたいなアクションの連続じゃないですか。撮影前に全部仕上げたのかと。
唐田 撮影前に半年間の準備期間があったんですが、そこから週3回のトレーニング。それと週2回は、長与さんが主宰するマーベラスさんに通って実践トレーニングを重ねて。トータルで週5日はトレーニングの日々でした。
――そこまでからだを酷使したのは?
唐田 もちろん初めてです。これまではどちらかというと、スタイルをキープするか、もしくはやせる方向での調整ばかりで、ほぼ減量ですからね。増量しろ、っていうのは本当に初めて。最初はあまり負担に感じなかったんです。「やった、たくさん食べられる!」って思っちゃったんで(笑)。
――あら、食べるのお好き?
唐田 はい、大好きです。でも、そう思えたのは最初だけ。2週間くらいすると、飽きてくるんです。飽きるっていうのも違うかな……食べるのがつらくなってくるんですよ。あぁ、そうか、食べ続けることって大変なんだ、って分かりましたね。
――でも、食べないとバテちゃいますよね。その運動量は。
唐田 はい。消費カロリーがすごいから、その何倍ものカロリーをとらないといけなくて。食べないとそもそも体力がもたないし、筋肉がつかないんです。お腹がすいた、っていう感覚をなくさないといけないから、ずっとお腹いっぱい(笑)。運動してなかったら食べられなかったでしょうし、運動していたからがんばって食べられました。それに、次第に代謝があがってきたんですよね。
――うわ……それはうらやま。
唐田 今でもそうなんですよ。もう体型は戻したんですが、代謝は高いままなんです。
――うらやまパート2……。
唐田 得したな、と思っているのは代謝向上だけでなくて、健康に気を配るようになったこともですね。増量期間は栄養士さんとトレーナーさんがついていたり、血液検査も月一回必ず。食生活が健康にどれだけ影響するかっていうことまで学ぶことができたので、健康的に食べて体型をキープするということができるようになったんですよ。
――うらやまパート3ですね。
唐田 体型は戻しましたけど、ヘアスタイルが変わったので、手持ちの洋服がぜんぜん似合わなくなっちゃいました。もともとボーイッシュな服が多かったんですが、さらにボーイッシュになってしまった、という感じです。
オーディションでは、誰の役になるか分からなかったんです
――オーディションのときのことを教えてください。
唐田 自己PRと、2つくらいのシーンのセリフをいただいて、そのお芝居をしました。長与さん役のオーディション、ではなくて、レスラー12人の誰か、というオーディションでした。
――え、ご指名じゃなかったんですね。ロシアンルーレット!
唐田 そうなんです。私自身はプロレス全盛期を知らなかったので、どの役でも体当たりでがんばろうと思っていたんですが、オーディションをしらせてくれたマネージャーさんからは「長与さんがあっていると思うから受けた方がいい」と言ってくれて。それで私なりにいろいろと調べ始めたんです。
――当時の映像とか資料、たくさんあったでしょう。
唐田 インタビュー記事とか大量に。それを読んでみたら、私とリンクする部分がたくさんあることに気づいて、それからは長与さんを演じたい、とすごく強く思うようになりました。オーディションでは誰の役になるか分からなかったですが、それでも私は長与さんを目指して挑もう、と。
――それ、自己PRで言いました?
唐田 いえ、言いませんでした。それよりも話すことたくさんありましたから。
――何をお話しに?
唐田 当時、私はほとんど俳優のお仕事をしていない時期だったので、この時期に自分がどういう生活をしていて、今はお芝居にこういうふうに向き合っているということを正直に話しました。
――白石監督も知りたいところですもんね。じゃ、オーディションに通ったとき、しかもPRしなかったのに長与さん役って聞いたら……。
唐田 本当に嬉しかったですし、勝手な話ですが何か運命的なものを感じました。長与さんのことしか考えていなかったですし、むしろこのオーディションに受からなかったら、私のキャリアは終わりという覚悟で挑んでいたので。白石さんに選んでいただけたことは素直に喜んだのですが、同時に責任を重く受け止めました。
――多くの俳優さんが「白石監督の仕事は自分を変えてくれる」っておっしゃるんですが、唐田さんもそう思っていました?
唐田 それはありましたね。本当に勝手な話ですけど(笑)。白石さんとご一緒することで、これまでにない何かをぶつけないといけないんだろう、という覚悟と期待がありましたし。なにか爪痕残さないと! っていう熱量を持っていました。
長与さんを描いているはずなのに、ちょっと自分でも驚くくらいに近いんです
――現場に入ったときもその熱量をキープしてました?
唐田 キープせざるをえないという感じでした。というのも、現場で白石さんが段取りをするときも、はっきりはおっしゃらないんですが「なに? 何を見せてくれるの?」っていう雰囲気を出すんですよ。そこを楽しんでいる部分もきっとあるんだと思うんですが(笑)。
――うわ……白石さんらしい。すごく温厚で俳優に任せるタイプですもんね。
唐田 そうなんです。芝居は自由なんですが、その分こちらも考えることが多くて。試されている感覚はありました。
――想像と違いました?
唐田 もっといろいろと指摘されるのかと思っていましたし……怖い人かな、って思っていたんですよね。白石さんの作品は強烈ですから。でも、ぜんぜんイメージと違って「もう自由にやってよ」という感じで。俳優のことを100%信頼しているのが伝わってくるので、それで私も答えないといけない、という緊張感がありました。
――しかもそれが成功していますよね。唐田さんはもちろんですが、レスラー役の皆さん、内面までそっくり。プロレス世代だから分かりますよ。
唐田 ほんとびっくりしました。私もそうですが、みんなの役も当て書きなんじゃないか、っていうくらいに演者と近くて。素の自分たちと役柄がうまくハマるように書かれていたんです。
――唐田さん、さきほど「長与さんと近いところがある」っておっしゃってましたけど、そこも汲み取られていました?
唐田 長与さんを描いているはずなのに、ちょっと自分でも驚くくらいに近いんです。私は、静かな印象だと思われることがあるのですが、実際は劇中の長与さんに近くて、すごく感情が表に出るんです。それはだいたいみんな驚かれるんですよね。これまでも作品でお会いした方々がそうでしたから。でも、今回この役を演じてみて、逆に長与さんのここは取り入れようと思ったこともありました。
感情がたかぶってしまったとき、レトリが「えりか、大丈夫やで」って
――それはどんなところ?
唐田 プロレス……もですが、自己表現に対してフタがない、というところですね。喜怒哀楽を素直に表現しながら生活しているところがすごく素敵だなと思って、撮影中はとくにそれを心がけてました。思ったことははっきりと言い、壁を作らない、とか、悔しいときは悔しさを全面に出す、とか。カメラが回っていないときでもそういうふうにしてしまったことがあったんです。それでみんなに迷惑かけちゃったかな……と不安になることもあったんですが。
――きっと大丈夫ですよ。だってみんなそうだったんでは?
唐田 本当に今回は共演の皆さんに助けられましたね。私がそういうふうに感情がたかぶってしまったときは、レトリ……あ、ゆりやんさんのことをそう呼んでいるんですが、レトリが「えりか、大丈夫やで」って言ってくれたり。
――むしろダンプさんになっている状態からすぐにゆりやんさんに戻れるってすごいですね。
唐田 凶器を使って大暴れみたいなときでも、すぐに戻るんですよ。多分ですが、レトリもダンプさんに近いものを感じて演じていたんじゃないかなって思います。
――その辺のことは共演の方々と話はされたんですか?
唐田 しませんでした。長与さん役を演じていると、劇中の共演者はみんなライバル役ですから、プライベートでもお話しないという期間があったんです。もともとはめちゃくちゃ仲がいいんですが、あるときにパタっとおたがいに距離をとるようになったんですよね。それがおたがいの共通認識で自然とできてました。そのおかげか、距離ができてからは前と違う感情が出てきて。役と同じように、悔しさや怒りの感情がどんどんとたまっていった感じがします。
――そのフラストレーションは芝居で生きていますね。
唐田 本来であれば仲がいい者同士で相談しながらやりたかったはずなのに、みんな自分で自分を追い込んでやってました。それも自然と。
――エピソード順に撮影したんですか?
唐田 だいたいそうでした。だから最終エピソードに向けて、だんだん感情が本物に近くなったんだと思います。
抵抗はなかったです。長与さんを演じられるなら、髪なんてすぐ伸びるし。
――ネタバレになるから詳しくは言えないけど、断髪して戻れない姿になりますからね。
唐田 そうなんです。オーディションのときの条件にもあったのが「最後は髪を切る」でしたから。
――抵抗はなかった?
唐田 ぜんぜんなかったです。むしろ長与さんを演じられるなら髪なんてすぐ伸びるし、ってくらいで。
――あれも本当にリング上で行われたことでしたけど、実際に長与さんお会いしたときにそういうディテールは聞きました?
唐田 はい。初めてお会いしたときは緊張してましたけど、長与さんがすごくかわいがってくださって。「唐田えりかから出てくるものを信じているから、そのままやってくれたらいいよ」って、クランクイン前に仰ってくれたことは心強かったです。プロレスのシーンはもちろんですが、技のかけかたの細かいことまで全部長与さん自身から教わりました。具体的なエピソードもいろいろとうかがいましたし、うかがえばうかがうほど、長与さんは強くならないといけなかった、という使命を持っていらっしゃることが分かりました。そういった若い時代を経ての今、長与さんがめちゃくちゃかっこよかったんです。強くならないといけないし、何があっても立ち上がるしかない、というガッツみたいなもの。そこに強く共感しました。
――作品の中でも描かれているとおり、プロレスラーはときには所属団体の意向も取り入れながら試合をこなしていくじゃないですか。それって俳優さんが作品のために働く、みたいなところに通じると思うんです。マッチしているときはいいけど、ときにそれが意にそぐわないこともある。そういうバランスはどうとってきました?
唐田 幸いなことに、私がこれまで演じてきた役は、どれもマッチしていました。どの役に対しても自分との共通点がみつけられて。芝居をするにあたっては、近い部分をふくらませる、という感じで演じてきました。もちろんジレンマを感じるときもありましたが。
――おお。柔軟! だからこの大役に対してもすっと入れたんですね。
唐田 そういっていただけて嬉しいです。プロレスブームの時代をご存じなんですよね? 実際はどうだったんですか?
――はい、ドンピシャ世代です。この作品が描いているとおりで、隆盛と衰退の起伏が激しかったですね。それを知らない世代のみなさんが見事にやってくれたのも、この作品の素晴らしさだと思いますよ。
唐田 よかった……。スタントなしでするプロレスシーンが多いので、「知っている人が観たらどう思うんだろう」と思うことがあったんですけど、そう聞けてホッとしました。長与さんも「これは本物のレスラーがやればもっとすごいシーンが撮れるけど、魂が大事なんだ。だから役者がやる意味がある」って仰ってたんですよね。
――そのとおりだと思いますよ。スタントをほとんど使わなかったのも説得力がありますし。
唐田 顔が映ることでぜんぜん違いますよね。
――やっぱり行けばよかった……。じつは後楽園ホールの最終シーンのエキストラ募集、うちのポストに入ってたんですよ。
唐田 いらっしゃればよかったのに! プロレスシーンのエキストラの皆さんの中には、何度もいらっしゃる方もいるくらいでしたよ。それに皆さん、プロレスが本当にお好きな方ばかりだったようで、歓声や掛け声は本気モードだったんです。それに私たちも励まされたところもありますね。レトリなんて、落ちこぼれ時代からダンプ松本になっていくくだりのところで、エキストラさんから「お前強くなったな」って声をかけられていて(笑)。
――あ、それガチのプロレスファンだ。推しのレスラーが成長している気分に。
唐田 でも、そういうことがあると、こっちも盛り上がるんですよね(笑)
「極悪女王」
バブル真っただ中の80年代を舞台に、心優しき一人の少女がルール無用の極悪プロレスラーになっていく姿を描く。全国民の敵と呼ばれた最恐ヒールの知られざる物語。
出演:ゆりやんレトリィバァ、唐田えりか、剛力彩芽
Netflixシリーズ「極悪女王」9月19日より世界独占配信
photograph: KAZUYUKI EBISAWA[makiura office]
interview & text:MASAMICHI YOSHIHIRO
styling: AMI MICHIHATA
hair & make-up:IZUMI OMAGARI
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