私には60歳を過ぎた母がいます。母は、50代後半から度々尿漏れを起こすようになりました。あるとき、外出するため母が車に乗り込んだ瞬間、おなかに力が入って着衣を汚してしまい、出発が遅れてしまうことが何度か続きました。それからしばらくして、母は尿漏れパッドを付けるようになりました。「これでひと安心」と思っていたのですが……。
脱衣所から漂う悪臭
ある日、実家の脱衣所に行くと、ものすごいアンモニア臭がしました。最初は「父の脱いだ洗濯物が汗臭いのかな?」と思い、においの元をたどってみると、それは母のパジャマのズボンでした。しかも置いてあった場所が、これから洗濯するカゴの中ではなく、一時的に収納する用のカゴだったのです。
母はあまり嗅覚が良くなく、特に臭いものはあまり感じないようです。「母に伝えるべきか……でもどう伝えよう」と、しばらく考えてしまいました。
意を決して母に伝えることに
それと同時に、少しショックでもありました。「きっとこのままこのズボンを履いたら、一緒に暮らしている父は絶対に気が付くだろう……」。そう思うと、「母に恥ずかしい思いをさせるのは嫌だな……」と思い、意を決して母に伝えることにしました。
「あのズボンはこれから夜も履くやつ?」と私が聞くと、母は案の定「そうだよ」と答えました。母は「1回履いたものだけど、パジャマだからそんな汚れてないから」と続けます。
そこで私は、「あのズボンさ、尿が付いちゃっているんじゃないかな。なんかにおうなと思って」と母に言うと、「え! もしかしたら少し付いてたのかも……」と、母はすぐにズボンを洗いに行きました。
配信: 介護カレンダー