キツネって何を食べるの? 油揚げが好きってホント?
キツネといえば油揚げが好物というイメージがありますが、これはあくまで「イメージ」というのが正解です。実際のキツネは肉食よりの雑食で、ネズミやウサギなどの小動物や鳥のほか、卵や果物、さらには虫やヘビ、カエルを食べることもあります。
しかし油揚げがのったうどんは“キツネうどん”といいますし、いなり寿司のことを“キツネずし”と呼ぶ地域もあります。なぜ「油揚げはキツネの好物」といわれるようになったのでしょうか?
それは、キツネが農作物の天敵のネズミを食べてくれるということで、古来より神の使いとしてあがめられてきたことに理由があります。当時、人々はキツネの好物であるネズミを揚げた「ネズミの油揚げ」を、キツネの巣穴にお供えしたと伝えられています。しかし、日本に仏教が伝来し、「どんな生き物であろうと殺生は良くない」と教えられたことで「ネズミをお供え物のために殺生するのは良くない」という思想が広まり、お豆腐を使った油揚げをお供えするようになったのだそう。こうして、現在の「油揚げはキツネの好物」というイメージが定着したようです。
お稲荷さんって、キツネの神様なの?
「お稲荷さん」として親しまれている稲荷神社には、たいていキツネの像などが鎮座しており、キツネの神様が祀られている神社といったイメージがあります。しかし実は、キツネ=稲荷神社の神様ではありません。ではあのキツネの正体は何なのでしょうか?
お稲荷さんは、稲作・農業の神様として信仰されている神社です。稲作の豊凶は、昔から日本人にとって生活に直結する大きな関心事だったので、その信仰は全国へ広まっていき、現在は全国に8万社程ある神社のうち、3万社以上が稲荷神社というデータもあります。
主に稲荷神社に祀られているのは「宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)」という、食べ物を意味する名前を持つ神様です。キツネはこの神様の眷属(けんぞく=神様の使者)なのです。
キツネは農事の始まる春先から収穫の終わる秋まで人里に姿を見せ、田の神が山へ帰られる頃に山へと戻っていく。神と同じ時期にキツネが行動することから、いつの間にかキツネが神の使いとされるようになったとされています。また、キツネは農作物の天敵だったネズミを食べてくれるということで、神の使いとしてあがめられるようになったそう。これが稲荷神社にキツネが鎮座するようになった由縁のようです。
参考:
身近な野生動物 キツネの不思議な生態と人との関わり|anicom you(アニコムユー)
あなたは隣人に気づいてる? ホンドギツネと人の関わり ―身近で暮らすキツネの生き様|文一総合出版
【7割の人が知らない?】お稲荷さん、稲荷神社の神様はキツネではありません
いまさら聞けない…仏教豆知識「お稲荷さんって狐さん?」
まとめ
キツネは日本に生息する野生動物で、昔話によく登場したり、お稲荷さんで神様の使いになっていたりすることから、昔は人のそばで暮らしていたことが伺えます。とても臆病で頭の良い動物なので、人の前に姿を見せないだけで、実は今も近くに生息しているのかもしれませんね。もしキツネを見つけたとしても、むやみに近寄らず、遠くからそっと見守るようにしましょう。
文/Ai Kano
配信: ASOPPA!
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