3、「離婚のための別居期間」としてカウントされない「期間」がある
別居は別居でも、離婚を認めてもらうために必要な別居期間にはカウントされない別居もあります。
単身赴任による別居と、家庭内別居がそれに当たります。
(1)単身赴任による別居
夫婦の一方が単身赴任をしているために別居している場合は、仕事のためにやむを得ず離れて暮らしているに過ぎず、夫婦関係が破たんしているわけではないのが通常です。
ただ、単身赴任がきっかけで別居が始まった場合でも、途中で夫婦仲が悪くなり、どちらかが離婚を切り出すようなこともあるでしょう。
その場合は、離婚を切り出したときから「離婚のための別居期間」がスタートします。
それまでの別居期間はカウントされませんので、ご注意ください。
(2)家庭内別居
夫婦仲が悪くなると、実際に別居をしなくても、家庭内で顔を合わさない、寝室を別々にしている、家事も自分の分しかしないという「家庭内別居」をする夫婦も少なくありません。
しかし、一つ屋根の下で一緒に暮らしている以上、夫婦関係が破たんしているとは判断されないケースがほとんどです。
家庭内別居をしている期間も「離婚のための別居期間」としてはカウントしてもらうためには、
家庭内で顔を合わさない
寝室を別々にしている
家事も自分の分しかしていない
等といった実態を具体的に証明しなければなりません。
4、離婚に必要な別居期間を待てない!早期に離婚するためのポイント
別居期間が長期に及べば離婚が認められるとはいっても、5年や10年といった長期間は待てない、なるべく早く離婚したい、という方が多いことでしょう。
そこで、ここでは少しでも早期に離婚するためのポイントを解説します。
(1)あなたが有責配偶者の場合
あなたが有責配偶者の場合、先ほど説明したように、裁判に持ち込んでも基本的には離婚できません。
なんとか相手方の同意を得て協議離婚をしてもらうしかないのです。
したがって、相手方がどのような条件であれば離婚をしてもよいと考えるのかという点を正確に把握するのが一番重要です。
そのうえで、ご自身が相手方の条件を可能な限り飲んだ上で、飲めない部分について相手方が納得するような代替案を提示し、話し合いをおこなうことが求められるでしょう。
これまでの経験からすれば、財産分与や慰謝料について相手方の要求に沿って話し合いを進めれば、有責配偶者の場合であっても比較的早期に離婚ができることも多いといえます。
もっとも、相手方の感情を害してしまうと、話し合いをまとめるのは難しくなります。
あなたが離婚原因を作った以上は、まずは謝罪をして、離婚後の相手方の生活のことも考え、誠意をもって離婚条件を提案していくことも大切です。
(2)その他の場合
他方、あなたが有責配偶者でない場合は、以下のポイントに注意しましょう。
①相手方が有責配偶者の場合
この場合、いくら相手方が離婚を拒んでも最終的に裁判まで持ち込めば離婚が成立します。
相手方にこのことを説明したうえで、早期に離婚することのメリットを提示し、離婚に誘導することが求められます。
たとえば、別居していて相手方があなたに婚姻費用を支払っている場合には、相手方は離婚まで婚姻費用(5で紹介します)の出費が続くことになりますが、それは財産分与や慰謝料には関係がなく、離婚を拒むほど出費が増えるが今離婚すれば出費が最小限で抑えられる、などです。
もっとも、相手方に話し合う意思がないことが明らかな場合は、ただちに離婚調停や離婚裁判の手続きを進めていくのもひとつの方法といえます。
②どちらにも離婚原因がない場合
この場合は、基本的にあなたが有責配偶者の場合と同様です。
相手が離婚に納得できる条件を引き出し、これに合わせる努力をすることが離婚への早道です。
配信: LEGAL MALL