「性の不一致」は離婚事由になるのでしょうか──。夫との生活に悩みを抱える女性からの相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
夫は、性交渉の回数が少ないことに「週1回じゃ足りない」などと不満を漏らしたり、相談者が妊娠のつわり中でも要求してくるそうです。また、子どもたちの前で胸を触ってきたり、運転中に眠くなると“夫を刺激”するよう迫ってきます。
相談者がこれら要求を嫌がると夫が不機嫌になるといい、「その性欲とキレた時の勢いに耐えられない」と離婚を考えているようですが、夫のこれらの行為を理由に離婚することはできるのでしょうか。理崎智英弁護士に聞きました。
●夫婦間でも「性交渉の要求に応じる義務ない」
──「性の不一致」を理由に離婚することは可能なのでしょうか。
夫婦間でもお互いに性的自由がありますので、相手の要求に応じて性交渉に応じなければならない義務はありません。
性の不一致により、夫婦関係が修復可能な程度に悪化してしまった場合には、婚姻を継続し難い重大な事由があるとして、離婚事由に該当する可能性はあり、その場合、離婚請求が可能です。
当事者間の協議で離婚が成立しなかった場合には、まずは離婚調停を起こし、調停でもまとまらなかった場合には、離婚裁判を起こす必要があります。
──離婚に向けてあらかじめ備えておくべきことはありますか。
将来的に離婚請求が認められるようにするために、相手から執拗に性交渉を求められていることの証拠を収集しておくことが考えられます。
相手の発言を録音したデータや、相手からのメールやLINEなどが証拠となり得ます。
【取材協力弁護士】
理崎 智英(りざき・ともひで)弁護士
一橋大学法学部卒。平成22年弁護士登録。東京弁護士会所属。弁護士登録時から離婚・男女問題の案件を数多く手掛ける。
事務所名:高島総合法律事務所
事務所URL:http://www.takashimalaw.com
配信: 弁護士ドットコム