キャリアのスタートは子ども番組
――声優の経験がお芝居にも活きるという考え方は、仕事の向き合い方としてとても素晴らしいと思いましたが、いつ頃からそのような意識で仕事をされているのですか?
木戸:僕のキャリアのスタートが、子ども番組から始まっていることが大きいです。その当時は役者として活動している中で、20歳でレギュラーをいただけたことはありがたかったのですが、その分どこかで俳優業が止まってしまった感覚を持っていました。
けれども、番組のステージで小さいお子さんや親御さんと触れ合っていくうちに、情報番組でレポーターをしたとき、同世代の俳優の方々ができていないことが自分にはできているという感覚に変わったんです。
それ以来、自分にしか出来ていない経験は武器になるし、そういう経験をたくさん積み重ねていけば、唯一無二の役者になれると思ったんです。やったことがないことへの挑戦心は、常に持ち続けようと思うようになりました。
――そういう経験も経て今回の映画にも至るわけですが、映画やドラマで活躍中の現状をどう受け止めていますか?
木戸:「当時挑戦したかったことが、今できている」という喜びが一番にあります。その上で現場に行くことが今は楽しくて仕方がないですし、どんどん高みを目指したくなるような刺激もいっぱい得ています。主演の方のお芝居を近くで見て刺激を受けています。
憧れは所属事務所の社長でもある小栗旬
――ひとつひとつの仕事を丁寧に自分の中に織り込んでくような仕事の仕方とでも言いましょうか。
木戸:そういうスタイルかもしれないです。すべてがつながっていくという考え方をしていると言いましたが、これまで出会ってきた番組、人や作品は、それがもし一個でも欠けていたら、今この場に僕はいないと思うんです。そういう考え方をしているので、すべての経験が折り重なって厚みが出て、立派な役者になれると思っています。
――それこそ唯一無二の木戸さんの色が作られていく感じがします。
木戸:そうですね(笑)。でも自分を一色でたとえることが本当は難しいなと思っている部分があって、いろいろな色をみんなが持っているし、逆に役者という仕事をするなら、いろいろな色に染まれる白色が正解かも知れないです。自由自在に変わる、多彩な役者でいたいと思います。
――話をするにはまだ早いですが、来たる30代は楽しみですか?
木戸:楽しみではありますが、20代が終わってしまう不安もあります(笑)。でもしっかり地に足が着いた、厚みがある役を演じられる30代を過ごしたいなと思っています。
――将来的な理想像はありますか?
木戸:事務所の社長でもある小栗旬さんの役者ロードには、とてもあこがれがあります。20代は本当に多忙で輝いていて、やがて大河の主演やハリウッドまで挑戦しているという。まだまだ止まらない、どんどん前に進んで行く姿が、僕は後ろから見ていて本当にかっこいいと思います。そういうふうになりたいですし、素敵な社長です(笑)。
<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
配信: 女子SPA!
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