不起訴不当とは?その後の流れや検察審査会への対処法を解説

不起訴不当とは?その後の流れや検察審査会への対処法を解説

3、不起訴不当と起訴相当はどう違う?

検察審議会議の議決で再度捜査されるもののうち、事実上起訴一択になるのは「起訴相当」です。

不起訴不当と起訴相当との大きな違いは、不起訴不当がなお公訴提起されない可能性を持つのに対し、起訴相当では強制起訴がある点です。

そのため、起訴相当の議決の条件も厳しくなっています。2つの議決の違いをまとめると、下の表のようになります。

比較項目

不起訴不当

起訴相当

議決の条件

11人中6人以上の意見一致

11人中8人以上の意見一致

1回目の議決後

再捜査される

再捜査される

不起訴処分が再決定された時

事件終結

2回目の検察審査会議へ

2回目の議決後

起訴相当の議決がもう1度され、指定弁護士が検察官の役割を担って起訴へ

4、検察審査会に申し立てられたときの対処法

検察審査会で不起訴相当の議決をしてもらいたくても、効果ありとはっきりいえる方法を紹介できないのが現状です。

審査会議の規定により、被疑者からの積極的なアプローチがほとんど不可能であるためです。

加えて、被疑者に対する審査開始の通知義務がないため、申立てがあったことを知るタイミングが遅れがちであることも指摘できます。

被疑者として検察審査会議に働きかけられるとすれば、以下のような方法が挙げられます。

(1) 証人として適切な供述をする

検察審査会には関係者に尋問する権利があり、その中で被疑者も証人として呼び出されることがあります。

呼び出される機会があれば、不起訴処分に繋がる供述を改めて行い、検察審査員の理解を得られるよう努めましょう。

【参考】不起訴処分に繋がる事情

犯罪事実を認めていた場合:本人の反省、示談成立、しょく罪寄附等

犯罪事実を認めていない場合:事件発生時の行動+その証拠等

(2) 意見書・上申書を提出する

検察審査会法で権利として認められているわけではありませんが、被疑者の気持ちや認識をまとめた意見書・上申書を提出する方法もあります。

被疑者が審査会議に関わることは認められませんが、提出しようとする書類があれば、実務上受理されているのです。

ただ、上記書類を審査会議の判断材料としてもらえる保証は全くありません。それでも可能性を拓くため、出来ることはやっておくと良いでしょう。

(3)不起訴となっても被害者への謝罪や示談は大切

検察審査会への申立てが行われるかどうかに関わらず、不起訴処分の後も被害者と和解する試みは続けましょう。

大前提として、刑事責任と民事責任は別物です。

不起訴となっても、故意または過失によって相手に傷害や経済的損失を負わせてしまったのなら、不法行為責任(民法第709条)や債務不履行責任(民法第415条)に基づき、損害賠償義務を負います。

弁償を怠れば、審査申立てに踏み切られる可能性が大きくなるのは当然です。

事実を把握した審査員の心証も損ね、不起訴相当が遠のいてしまうことは否めません。

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