3、配偶者暴力防止法(DV法)が定めていること
配偶者暴力防止法は、以下のようなことを定めています。
(1)基本理念
配偶者による不当な暴力を防止して被害者の人権を守り、男女の平等を実現するというDV法の基本理念が掲げられています。
(2)国及び地方公共団体の責務
国や地方公共団体は、配偶者からの暴力や被害者の自立を支援するための適切な措置をとらねばならないとされます。
(3)配偶者暴力相談支援センター
各都道府県は、女性センターや男女共同参画センターなど、配偶者暴力の相談を受けたり支援をしたりするための施設を設置しなければなりません。
この規定にもとづいて、全国各地には配偶者暴力相談支援センターが設置されています。
(4)一時保護
配偶者から暴力を受けて、家に帰ると危険があり保護を要する人は、DVシェルターなどで一時保護してもらえます。
(5)情報提供・通報
医師など、配偶者暴力を受けている人を発見できる立場にある人は、DV被害に遭っている人を見つけた時、なるべく配偶者暴力相談支援センターや警察に報告するよう努力すべきとされています。
また被害者(患者)に対しては、配偶者暴力相談支援センターで相談等できることを教えてあげるべきとされます。
(6)警察官による被害の防止・警察本部長等の援助
警察官がDV被害者からの相談を受けるときには、さらなる被害につながらないように慎重に対応しなければなりません。
また被害者が援助を求めたときには、適切なサポートをする必要があります。
(7)福祉事務所による自立支援
被害者が配偶者から自立するために生活保護などの支援が必要なときには、福祉事務所が自立支援を行います。
(8)各関係機関連携
配偶者暴力相談支援センターや警察、福祉事務所などの各機関は、DV被害者援助のために連携して対応すべきとされます。
(9)保護命令
配偶者から暴力を受けており、被害者を保護する必要性が高い場合には、裁判所が各種の「保護命令」を出すことによって、被害者を守ります。
(10)退去命令
保護命令のひとつです。
被害者が加害者から逃れるために別居したくても、現状同居のままでは身動きが取れないケースもあります。
そのような場合、裁判所が加害者に対して退去命令を発令し、一時的に加害者を退去させてその間に被害者が引越できるように取りはからいます。
4、配偶者暴力防止法(DV法)によって禁止される「暴力」とは
DV法では、配偶者に対する「暴力や脅迫」があった場合、保護命令によって被害者が保護されます。
ここで言う「暴力や脅迫」とはどのようなものをいうのでしょうか?
保護命令の対象となる暴力は、身体に対する暴力であり、脅迫は生命・身体に対する脅迫です。
警察の援助対象となっている暴力も、身体に対する暴力に限定されます。
そこで、相手から「殺すぞ」「殴るぞ」などと言われたり実際に殴る蹴るの暴力を受けたりしている場合には保護命令の申立ができます。
しかし、「お前は最低な人間」「お前のようなバカな人間は見たことがない」などの人格を否定する暴言や、無視し続ける場合、性的な嫌がらせの場合には、一般的には「DV」とされるものの、保護命令の対象になりません。
配信: LEGAL MALL