遅延損害金とは? 算出方法や支払えない場合の対処法を解説

遅延損害金とは? 算出方法や支払えない場合の対処法を解説

3、遅延損害金が発生した時に生じるデメリットとは?

遅延損害金が発生するような状況になった場合には、さまざまなデメリットが生じる恐れがあると考えられます。

遅延損害金が発生するような状況になる前に、まずは借金を滞納するデメリットについて知っておきましょう。

(1)支払い総額が増える

遅延損害金が発生するということは、支払い総額が増えるということになります。

返済期日通りに返済を行っていれば元金と利息の返済だけで済みますが、滞納することによって遅延損害金の支払いまで増えることになるのです。

遅延損害金は高利率の設定が多く、延滞日数が増えるほど遅延損害金の金額は高くなります。

そのため、少しでも借金の滞納を放置しまうと、高額な請求が行われる恐れがあるので注意が必要です。

(2)ブラックリストに載ってしまう

返済を滞納すれば、信用情報機関(クレジットカードなどの審査の際に支払い能力及び信用能力を共有する機関)に事故情報(借金などの返済を滞納したという金融事故情報)として登録されてしまいます。

これを「ブラックリストに載る」と呼びます。

金融機関やクレジットカード会社は借入れを行う際には、信用情報機関の情報を確認することで相手の支払い能力を確認します。

そのため、信用情報機関に借金の滞納情報が記録されると、金融機関などの審査に通らなくなってしまいます。

すると、

新規借入れ
クレジットカードの発行
ローンを組むこと

などが難しくなってしまうものです。

滞納情報はすぐに記録されるわけではありませんが、一般的には2~3か月ほど滞納するとブラックリストに掲載されると言われています。

(3)裁判になる可能性がある

遅延損害金が発生するような状況になれば、借金を滞納している金融機関などから支払い督促が届くようになります。

この督促を無視するなどして対応を怠れば、債権者が裁判を申立てる可能性があります。

裁判になれば一括で返済を求められる可能性もありますし、返済に対応できなければ財産差し押さえの可能性も出てきます。

一般的には滞納して2か月ほどで督促状が届き、督促状に対応しないでいると裁判に発展することが多いです。

(4)財産が差し押さえになる可能性がある

借金を滞納して裁判所からの通知も無視を続けた場合、強制執行により財産を差押えられてしまう恐れがあります。この差し押さえられた財産が売却されるなどして債権者に債務の弁済が行われます。

差し押さえでは、

預貯金

などだけではなく給料も差押えの対象になります。

家など不動産の場合には強制的に売却されてしまうことになるため、そうなる前に対処する必要があります。また、給料の差し押さえになれば勤務先に通知が届くことになるため、社会的信用を失ってしまう可能性もあるでしょう。

4、遅延損害金の計算方法

遅延損害金が発生すれば返済の支払いが増え、負担も大きくなってしまいます。そのため、遅延損害金が発生するような場合にはあらかじめどれくらいの金額になるのか把握しておきたいものです。

遅延損害金の利率
計算方法

について詳しくみていきましょう。

(1)遅延損害金の利率について

遅延損害金を計算するにあたって、利率について把握しておく必要があります。

遅延損害金の利率は利率制限法によって上限が規定されており、上限利率は利息の1.46倍を上限にすることが定められています。

そのため、利息から考えると遅延損害金の利率の上限は次の表のようになります。

借入額

10万円以下

10~100万円

100万円以上

利息

20%

18%

15%

遅延損害金の上限利率

29.2%

26.28%

21.9%

ただし、この遅延損害金の上限利率は

銀行
クレジットカード会社

などの金融機関におけるものです。

消費者金融で借入れた場合には、遅延損害金の利率が最大20%になることが利息制限法第7条に規定されています。

これらの利率を超える契約に同意した場合には、合意は無効になるため上限利率を超える分は支払う必要がありません。

(2)遅延損害金のケース別の計算方法

遅延損害金の金額は、「借入残高×遅延損害金利率×延滞日数÷365日」で求めることができます。

利率に関しては、貸金契約書の中に記載されているものを当てはめます。

一括返済と分割返済の場合で、それぞれどのように計算すればいいのか具体的にみていきましょう。

①一括で返済する場合

一括で返済をする場合、計算式は分かりやすくなっています。

借入額が80万円で遅延損害金の利率が20%、30日間滞納した場合は、次のとおりに計算します。

80万円×20%×30日÷365日

この計算式で算出すると、支払うべき遅延損害金は13,150円になります。

②分割で返済する場合

分割で返済をしており、滞納が継続している場合には遅延損害金の計算式が少し変わります。

毎月の返済額が10万円で遅延損害金の利率が20%、50日間(2カ月)滞納した場合は、次のとおりに計算します。

(①10万円×20%×30日÷365日)+(②20万円×20%×20日÷365日)

1カ月目は支払う返済額が10万円なので、①の計算式から算出した1,643円になります。

しかし、滞納が2カ月目に入ると返済額が2カ月分の20万円になるため、②の計算式で算出される2,191円に増えます。

2カ月滞納であればこの2つの計算式を合わせることになり、合計3,834円の遅延損害金が発生することになります。

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