3、面会についての注意点とは
「父親が逮捕された」と聞けば、「一刻も早く会いに行きたい」と思われる方が多いかもしれません。
お気持ちは分かりますが、その前に以下の点に注意する必要があります。
(1)逮捕期間中は原則として面会できない
逮捕から勾留請求の結果が出るまでの間(以下「逮捕期間中」といいます。)は、原則として、弁護人以外の者との接見は認められていません。
(2)接見には様々な制限がある
ご家族など弁護人以外の者による面会には、以下の制限が付きます。
①曜日、時間の制限
土日・祝日の接見はできず、午前9時30分から午前11時、午後1時30分から午後4時までと決められています。
②面会人数の制限
1日1組で、1組は3人(乳幼児を含む)以内と決められています。
③面会の長さ(時間)の制限
接見の長さは15分か20分のどちらかに決めている警察署が多いと思われます。
④面会回数の制限
1日1回などと決められています。
⑤立会人が付く
面会時には立会人(警察官)が付きます。
(3)接見禁止が付いたら面会できない
接見禁止とは、勾留決定が出ている被疑者または被告人に、逃亡又は罪証隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある場合に、勾留されている方とご家族など弁護人以外の者との接見を禁止する決定のことをいいます。
ただし、接見禁止といっても、弁護人以外のすべての者との接見を禁じる全部接見禁止と一部の者との接見を禁じる、あるいは認める一部接見禁止とがあります。
前者の場合には、接見することができませんが、後者の場合、条件によっては(例えば、決定では「~接見を禁じる(ただし、被疑者の配偶者、その子は除く)」などとされている場合)接見できることもあります。
4、逮捕後の弁護活動、弁護士に依頼するメリットとは?
逮捕された父親の子供にとって、一番の懸念は、前記2でもご紹介させていただいた影響(特に、風評被害)が自分の身に降りかかってこないだろうかということではないでしょうか?
そこで本項では、風評被害を少しでも軽減するための弁護活動と、弁護士に依頼するメリットについてご紹介いたします。
(1)身柄拘束を回避するための弁護活動
世間では逮捕=有罪というイメージがありますから、風評による被害を抑えるためには逮捕をされないことが一番重要です。
逮捕の可能性がある段階であれば、ぜひ弁護士にご相談ください。逮捕回避に向けて検討します。
逮捕された場合でも諦める必要はありません。
まずは、逮捕の情報源である警察に、不必要な情報の流出は上申書、意見書などを提出することは可能です(もっとも提出したからといって法的効果が生じるわけではありません)。
さらに被害を最小限に抑えるためには、逮捕された方をいち早く自由にすることが必要だと考えます。それには、以下の活動が考えられます。
①逮捕期間中に接見する
既に説明したとおり、逮捕期間中に接見ができるのは、原則として弁護人のみです。
接見をすることは弁護活動の何よりの基本ですから、この期間に接見できる意義は大きいといえます。
②警察官、検察官、裁判官に意見書などを提出する
接見した後は、手続きの進み具合によって、警察官、検察官、裁判官に釈放に向けた意見書などを提出します。
このことによって、逮捕期間中に釈放される可能性も十分考えられます。
③不服申し立てをする
仮に、逮捕期間中に釈放されず勾留されたとしても、勾留に対する不服申し立てをすることができます。
はじめの勾留期間は10日間と決まっていますが、不服申し立てが認められれば10日間を待つまでもなく自由になることがあります。
勾留が延長された場合でも不服申し立てをすることは可能です。
(2)その他の弁護活動
その他の弁護活動としては以下の活動が考えられます。
①示談交渉をする
被害者が存在し、被疑者や被告人が罪を認めている事件については、速やかに示談交渉に入ります。
その姿勢が早期釈放に繋がることもあります。
また、示談を成立させることができれば不起訴処分、執行猶予付き判決などの結果を獲得できやすくなります。
②被疑者・被告人の意見・主張に沿った弁護活動
仮に、釈放されず身柄拘束が続いた場合には、その間に何度も接見を行います。
特に、被疑者や被告人が罪を認めてない否認事件の場合には接見の回数はもっと多くなるでしょう。
そして、被疑者の言い分を聴き、刑事処分を決める検察官に意見書などを提出して不起訴処分獲得に努めます。
裁判になった場合には、被告人に有利となるような書類を提出したり、証人から話を聴くなどして執行猶予付き判決、無罪判決の獲得に努めます。
配信: LEGAL MALL