交通事故で股関節を骨折~後遺症が残ったら慰謝料はどうなる?弁護士が解説

交通事故で股関節を骨折~後遺症が残ったら慰謝料はどうなる?弁護士が解説

3、股関節骨折で後遺障害が残ったときに請求できる費目と慰謝料相場

交通事故では具体的に何を相手に賠償してもらえるのでしょうか。請求できる費目や慰謝料の相場を解説します。

(1)4つの請求できるもの

①入院費用などの治療費

病院の入通院費用などの治療費を請求できます。松葉杖などの装具の費用も含みます。

相手が任意保険に加入している場合には、保険会社が直接病院に支払っているケースが多いです。

②休業損害

交通事故の影響で仕事を休んだ場合には、もらえるはずであった賃金を休業損害として請求できます。

主婦・主夫の方についても、家事労働ができなかった分について請求が可能です。

前述の逸失利益と何が違うのだろうと思われるかもしれませんが、以下のような違いがあります。

休業損害:現在の損失に対する補償
逸失利益:将来の損失に対する補償

③慰謝料

慰謝料とは、精神的苦痛に対する賠償をいいます。次の2種類があります。

入通院慰謝料:入通院した期間に応じて支払われる慰謝料
後遺症慰謝料:後遺障害が認定された場合に受け取れる慰謝料、等級によって金額は異なる

④逸失利益

逸失利益とは、後遺障害がなければ将来得たであろう収入です。

事故前の収入
症状固定時の年齢
後遺障害等級の内容

等によって受け取ることができる金額が決まります。

(2)慰謝料計算の3つの基準

相手に請求できる金銭のうち慰謝料は、算定する際の基準によって金額が大きく異なります。

慰謝料算定においては、誰が計算するかによって次の3つの基準があります。

基準

意味

自賠責基準

自賠責保険の支払いの際に用いられる基準。最も低額。

任意保険基準

任意保険会社が提示する際の基準。自賠責保険よりやや高い程度。

弁護士基準

弁護士が請求する際に用いる基準。最も高額。裁判所基準ともいう。

(3)等級ごとの慰謝料相場は?

股関節骨折の場合に考えられる等級について、後遺障害慰謝料は以下のとおりです。任意保険基準は非公開のため、他の2つの基準による金額を示します。

等級

自賠責基準

弁護士基準

7級

419万円

1000万円

8級

331万円

830万円

10級

190万円

550万円

12級

94万円

290万円

13級

57万円

180万円

14級

32万円

110万円

等級にもよりますが、弁護士基準は自賠責基準の3倍程度の金額になっています。弁護士基準で請求することの重要性がおわかりいただけるでしょう。

4、股関節骨折による後遺症について等級認定を受けるためのポイント

後遺障害が認定されなければ、逸失利益や後遺症慰謝料を受け取ることはできません。認定の可能性を少しでも上げるためのポイントをご紹介します。

(1)病院で必要な治療・検査を受ける

病院で治療や検査を受けることは、症状改善のためにはもちろん、後遺障害認定のためにも必要不可欠です。

等級認定のためには、検査結果を診断書に記載しなければなりません。

画像の撮影
可動域の測定

など症状によって求められる検査は異なります。

ただし、医師は後遺障害認定に詳しいとは限らず、治療上は必要性が低い検査については実施していない可能性も否定できません。

そのため弁護士に検査の要否に関する見解を聞いてみるのも大切です。

(2)適切な時期に症状固定にする

症状固定とは、交通事故により受けたケガについて治療を続けてきたものの、それ以上治療しても症状の改善が見込めなくなった状態をいいます。

この症状固定を適切な時期にすることが重要です。

例えば

症状固定となる前に治療を終了してしまった
必要以上に治療期間が延びた

などの要素は等級認定において不利に働く可能性があります。

また、保険会社が早期に症状固定を持ちかけてくることがありますが、症状固定の判断においては担当医の意見が重要です。

担当医に症状固定時期に関する意見を聞いてみて、「まだ症状固定ではない」と言われたら、安易に治療を終了するべきではありません。

(3)後遺障害診断書を正確に書いてもらう

後遺障害診断書は、等級審査において非常に重要な書類です。医師が作成しますが、間違いのないように記載してもらってください。

特に自覚症状の欄は、患者の言ったことが反映されます。自分の伝えたことが正しく書かれているか確認してください。

(4)被害者請求で申請する

後遺障害の申請は「被害者請求」という方法でするのがオススメです。

被害者請求とは、必要書類の収集から請求手続までをすべて自分で行う方法です。

保険会社にまかせる場合に比べると手間はかかりますが、認定に有利な証拠を自分で提出できるメリットがあります。

とはいえ、必要書類を把握して自分ですべての手続するのは簡単ではありません。弁護士に依頼して被害者請求を代わりにしてもらうことも可能です。

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