注目を集める「腸活」。
腸活を考える上で、私たちの腸内にすむ「腸内細菌」の存在は欠かせません。
町内にはどんな細菌がすみ、どうすれば腸内環境を整えられるのでしょうか?
今回は、筑波胃腸病院 理事長の鈴木隆二先生にお話を伺いました。
なぜ腸の調子を整えることが大切なの? そもそも腸活とは??
腸は「第二の脳」とも呼ばれ重要な器官です。
消化吸収だけでなく、免疫機能やホルモンの調節、さらには精神状態にも影響を与えます。
腸内の健康を保つことは、消化器系の病気を防ぎ、免疫力を高め、全身の健康を維持するために重要となります。
最近注目される「腸活」とは、腸内環境を整えるための活動や生活習慣のことを指します。
主に食事の改善や運動、ストレス管理などを通じて腸内細菌のバランスを整え、健康を促進することを目的としています。
腸内環境を良くするポイントのひとつ、腸内細菌のためにできることとは?
私たちの腸内には、腸内細菌叢(マイクロバイオーム)と呼ばれる数兆の細菌や微生物の集まりがあります。
これらの細菌は、消化吸収の補助、ビタミンの生成、免疫系の発達、病原菌の抑制など、多くの重要な機能を果たしています。
バランスが崩れると、炎症性腸疾患や肥満、アレルギー、精神疾患などのリスクが増加します。
腸活を考えるうえで、腸内細菌叢のバランスを整えることはとても大切です。
その方法について、説明いたします。
1.プロバイオティクス
生きた善玉菌(乳酸菌やビフィズス菌など)のこと。
メリット: 腸内の善玉菌を増やし、消化機能の改善、免疫力の向上、炎症の軽減に役立つ。
デメリット: 過剰摂取や特定の疾患がある場合、消化不良や感染症のリスクがある。
2.プレバイオティクス
善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖などの成分。
メリット: 善玉菌の成長を促進し、腸内環境の改善に寄与。
デメリット: 摂取過剰の場合、ガスが溜まったり、腹部膨満感が生じることがある。
3.シンバイオティクス
プロバイオティクスとプレバイオティクスを組み合わせたもの。
メリット: 善玉菌の増殖とその活性を同時に促進し、より効果的に腸内環境を改善できる。
デメリット: 個別の成分と同様、過剰摂取による不調があり得る。
4.バイオジェニクス
微生物が生成する健康に良い物質。
メリット: 免疫機能の調節や抗炎症作用が期待される。
デメリット: 科学的な理解が進んでいないため、具体的なリスクは不明。
5.ポストバイオティクス
プロバイオティクスが産生した代謝物や死菌。
メリット: 腸内バリア機能の強化、抗酸化作用、抗炎症作用。
デメリット: 研究段階であり、具体的な安全性や有効性の評価が進んでいない。
そもそも、善玉菌や悪玉菌って何?
善玉菌とは、健康を促進する細菌です。
消化を助け、免疫系をサポートし、有害菌の増殖を抑制する役割を持ちます。
乳酸菌やビフィズス菌などが代表例で、腸内にすむ細菌の約20%を占めます。
悪玉菌とは、腸内環境を悪化させる細菌です。
毒素を生成し、消化不良や炎症、病気を引き起こすことがあります。
ウェルシュ菌や大腸菌の一部が例で、腸内にすむ細菌の10%を占めます。
残りの70%は日和見菌と呼ばれる菌で、善玉菌と悪玉菌のうち、優勢な方に近い働きをします。
私たちの腸にはたくさんの菌がすんでいて、さまざまな働きをしている…なんて、ちょっと不思議ですよね。
ヨーグルトや漬物など、良い菌を含むものを食べる、食物繊維を摂る…など、いろいろな方法があり、人により効果を感じられるもの、それほど効果を感じられないものがあるでしょう。
ぜひ、ご自身に合った腸活を探してみましょう。
[執筆者]
鈴木隆二先生
筑波胃腸病院理事長
日本消化器内視鏡学会専門医
日本外科学会専門医
全ての患者の健康を第一に考え、日々最新の医療技術を提供しています。
理事長として筑波胃腸病院と千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡日帰り手術クリニック健診プラザをメインに運営し、消化器疾患の早期発見と治療、予防に力を入れています。
筑波胃腸病院
配信: キレイ研究室
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