結婚や子育てのイメージが持てない日本の若者。米・独・仏などとの比較でも違いが顕著に

結婚や子育てのイメージが持てない日本の若者。米・独・仏などとの比較でも違いが顕著に

■仲間と仲良く暮らしている

「仲間と仲良く暮らしている」という項目ですが、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の回答を比較すると、他の4カ国は76%超である一方で、日本は61.1%と、10ポイント以上の差が見られました。

大人になって歳を重ねたときの友人づきあいがイメージできない、日本の子どもや若者も少なくないようです。

友人と仲良く暮らしている(5カ国比較)

―こども家庭庁「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査 (令和5年度)」

■多くの人の役に立っている

次に、「多くの人の役に立っている」という項目を見てみましょう。

やはり日本の子ども・若者は「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した割合が39.2%とほかの国と比べてかなり低くなっています。特に「そう思う」と回答した人は10.5%と約1割程度で、次に少ないスウェーデンと比較しても約17ポイントの開きに。謙虚であるともいえますが、自己肯定感が低かったり、社会的役割について具体的に考えられなかったりするケースもあるのではないかと想像されます。

多くの人の役に立っている

■有名になっている

次に、「有名になっている」という項目ですが、日本の子ども・若者で「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答している割合は15.7%である一方、他の国々は3~4割となっています。日本の場合、そもそも、有名になりたいと考える人が少ないということなのかもしれません。SNSによって有名人がより身近になっている現代ですが、意外にもそれと「自分が有名になること」とは別物だととらえている若者が、とても多いようです。

有名になっている(5カ国比較)

―こども家庭庁「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査 (令和5年度)」

日本の若者は外国と自分との関わりについて消極的?

では、グローバル化が言われるようになって久しい昨今、今の若い世代は「国際的」と自分自身の関係について、どう思っているのでしょうか。

■国際的に活躍している

「国際的に活躍している」という項目について、「そう思う」と回答した日本の子ども・若者はわずか6.4%、「どちらかというとそう思う」を足しても21.4%でした。5割を超えている他の4カ国と比べると、かなり低いといえるでしょう。

日本の地理なども関係するかもしれませんが、SNSなどで海外の人たちとのコミュニケーションも容易になっている現在の状況を考えると、やや意外な結果かもしれません。

国際的に活躍している(5カ国比較)

―こども家庭庁「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査 (令和5年度)」

■外国に住んでいる

同様に、「外国に住んでいる」というイメージを持つ日本の子ども・若者は、他国と比べるとかなり少ないようです。

日本は「そう思う」「どちらかといえばそう思う」が12.9%ですが、他の4カ国は4~5割と多くなっています。外国に住むことをイメージしにくい日本人は、若い世代でもまだまだ多いことがわかりました。

外国に住んでいる(5カ国比較)

―こども家庭庁「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査 (令和5年度)」

結婚や子育てのイメージが持てない、日本の若者

最後に、結婚や子どもに関する項目を見ていきます。

■結婚している

「結婚している」という項目について、日本の子どもや若者が「将来、自分は結婚するだろう」と思っている人の割合は50.2%となっています。他国ではドイツのみ65.7%で6割台ですが、ほかは7割以上という結果です。各国の事情はそれぞれ異なるため、一概に言えませんが、日本の若い世代にとってはとくに、結婚が当たり前ではなくなっている状況がうかがえます。

結婚している

―こども家庭庁「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査 (令和5年度)」

■こどもを育てている

続いて「こどもを育てている」という項目に関しても、日本の子ども・若者で「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答した割合は42.8%で、他国が6~7割であることと比べると低いという印象です。若い世代が子どもをもつイメージを持てないことは、日本がまだまだ子育てしにくい国であることの表れかもしれません。

こどもを育てている

―こども家庭庁「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査 (令和5年度)」

まとめ

今回は、自分の将来像について聞いた調査結果でしたが、残念ながら日本の子どもや若者は、他の調査国と比べるとネガティブな傾向を感じる結果でした。一般に安全で暮らしやすいと思われる日本ですが、日本の若者たちの多くは自分の将来をあまり明るく描くことができていません。ここには当然、日本の社会状況も反映されていることでしょう。とくに、将来自分自身に満足していると思える人がやや少ないのが気になります。向上心の高さの表れであればよいですが、その理由が自分を肯定できないことにある可能性も考えられます。ご家庭でも一度、自分の子どもが明るい将来を思い描けているかどうか、話を聞いてみるとよいかもしれません。

(マイナビ子育て編集部)

調査概要

■我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査 (令和5年度)/こども家庭庁

調査対象国:日本・アメリカ・ドイツ・フランス・スウェーデン

調査対象者:満13歳~29歳の男女

調査期間:2023年11月~12月

調査回収数:

日本:1,089、アメリカ:1,064、ドイツ:1,078、フランス:1,026、スウェーデン:1,026

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