●「みんなよく分からないまま何となく受けていた」
ーー実際、早田さんや同級生たちは朝課外についてどう思っていましたか?
僕らの時は、年度の始めに全校生徒を対象に、課外を受講するか、受講しないかを選ぶ調査がありました。でも、実際は9割以上が朝課外を受けていたと思います。
今でも覚えていますが、2年生の時、「課外って取らないといけないんですか?」と質問したら、先生が「難関の大学や学部に合格した先輩方はみんな通ってきた道だから」と言ったんです。
でも、17、18歳ぐらいで大学受験をまだ経験していない生徒たちにとって、そんなことを言われたら何も言えません。大学生になった今考えてみると、みんな朝課外を受けていれば、中には難関大学に受かる人もそりゃいるだろうなと思います。
高校生の頃、朝課外はだるい、しんどい、きつい、なくなればいいと思っていました。もちろん部活や宿題もあるわけです。必然的に睡眠不足になります。僕は朝7時前に家を出て、まぶたが半分閉じたような状態でチャリンコをこいで学校に向かっていました。
今考えると恐ろしいですが、若くて体力がある高校生だからなんとかやっていけるのだと思います。朝が早すぎるので、朝課外の時は眠く、授業の内容が頭に入ってきませんでした。ぶっちゃけ寝ていた授業もあります。保護者も朝早く起きて弁当を作らないといけません。
正直、みんなよく分からないまま何となく受けていたと思います。学校は選択制と説明しますが、ほぼ強制的だったんじゃないでしょうか。
●朝課外に驚く九州以外の友人 「先生もかなり大変だと思う」
ーー早田さんの問題提起の後、偶然タイミングが重なったためなのか、熊本県などで朝課外を廃止する動きが加速しました。延岡高校を卒業した今、朝課外についてどう考えていますか?
高校生の時、僕個人としては内心「こんなものとっととやめた方がいい」と思っていましたが、生徒会長としては中立かつ冷静に考える必要があるという思いもあり、「一気に廃止しないとしても、現状維持は負担が大きいので、本当の選択制にしましょう」と提案したつもりでした。
その手始めに生徒アンケートを取ってほしいと伝えましたが、取らせてもらえませんでした。それは卒業した今も納得できません。
大学に入って九州以外の出身の友だちと話すと、そもそも「朝課外」というワードが全く出てきません。こちらから切り出すと、「そんなものがあるの?」と驚かれます。
子育てや介護がある先生たちはかなり大変だと思います。教員になりたいと思う人が減るのも分かります。朝課外の時間を有効活用すれば、先生も授業研究の時間に当てることができて授業の質が上がるかもしれません。
僕は行きたい大学に進学できたので、今さら怒りはありません。卒業してしまった今、当事者ではない僕が声を上げても外部の一意見にしかなりません。今の高校生たちの声を一番大切にしてほしいと思います。
後輩たちには充実した高校生活を送って夢の実現に向けて頑張ってほしいです。正しく議論が進んでみんなにとって良い結論が出ることを望んでいます。
配信: 弁護士ドットコム