目黒蓮が『海のはじまり』で最もつらそうな顔をした瞬間、子どもの口から出た“鋭利な刃”の一言とは

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抱きしめた感触を得ることだけはできない


この回、夏を応援したいのだが、水季からもらったものある?と聞かれて夏が「別れたときに捨てた」と言うのは1点減点したい。弥生にもらったものを捨てたほうがいいかと海は気にしてしまうのだ。結果的にはブルーのイルカとピンクのイルカ、弥生の涙(怨念)が染み込んだイルカのパペット――3つのイルカに囲まれて暮らす。

水季の実態がない代わりに海はブルーのイルカをぎゅっと抱きしめる。朱音は水季が落書きした鍋をぎゅっと抱きしめる。肉体が消えても、思い出は残るものだし、その人の存在をいつでも思うことができるけれど、抱きしめた感触を得ることだけはできない。だから、代わりのものを抱きしめるしかない。


夏と海はぎゅっと抱き合う。ふたりは生きていて、お互いの肉体を感じることができる。だが、抱きしめあう肉体があればあるほど、水季がいないことを海は痛感してしまうのかもしれない。

第12回まであるのは、昨今の連ドラでは長い(最近は、全10話が多い)。その分、じっくりと心情を描いていて、見応えがある。でもその分しんどさも2回分重い。ハッピーエンドを期待したい。

<文/木俣冬>

【木俣冬】
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami

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