子どもへの虐待や性加害、自殺者の多さなど、日本社会は子どもに関して様々な課題を抱えています。子どもがきちんと守られ、自分らしく生きられるためには子どもの声を聴く社会であることが欠かせません。そこで今回は、こども家庭庁が若年層に実施した調査をもとに、子どもの権利に対する意識や社会に対する意見をお伝えします。
日本を含む5カ国、13歳~29歳の男女に調査
こども家庭庁では、日本と諸外国の子ども・若者の意識を比較することで、日本の子ども・若者の意識の特徴などを的確に把握することを目的に「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査」を実施しました。対象国は、日本のほか、アメリカ、ドイツ、フランス、スウェーデンの計5カ国、対象者は13歳~29歳までの男女とし、各国1,000サンプルを集めました。今回はその中から、子どもの意見表明権や自国の社会に対する意識に関する部分を取り上げます。
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子どもの意見表明権、日本は「聞いたことがない」が最多の5割超
日本の子どもや若者に対し、子どもには「自分に関係することについて、意見や気持ちを聞いてもらえる権利(意見表明権)」があることを知っているかを聞いた設問では、「聞いたことがない」と回答した人の割合が50.3%で最も多く、半数超となりました。「名前だけ聞いたことがある」は28.1%、「どんな内容か少し知っている」は13.6%、「どんな内容かよく知っている」は8.0%でした。日本の子どもや若者には意見表明権をよく知らない人が多いといえます。
一方、5カ国の比較で見ると、スウェーデン、フランス、アメリカは3割超が「どんな内容かよく知っている」と回答しています。反対に、日本が半数以上だった「聞いたことがない」人の割合は、4カ国のいずれも2割未満でした。
あなたは、こどもには「自分に関係することについて、意見や気持ちを聞いてもらえる権利」(意見表明権)があることを知っていますか。(回答は1つ)
―こども家庭庁「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査 (令和5年度)」
【意見表明権とは】
意見表明権とは、「子どもの権利条約(児童の権利に関する条約)」における4つの原則の1つです。子どもの権利条約は、1989年11月に国連総会において採択されました。日本は1994年に批准しています。条約では、子ども(18歳未満の人)は守られる対象にあるだけではなく、権利をもつ主体であることを明確にし、子どもに対し大人同様に、ひとりの人間としてさまざまな権利を認めると同時に、成長の過程にあって保護や配慮が必要な権利を定めています。4つの原則のうち、残りの3つは「差別のないこと」、「子どもにとって最もよいこと」、「命を守られ成長できること」とされています。なお、この条約の締約国・地域の数は現在196[*1]です。
配信: マイナビ子育て