【美容師が解説】「痒いところはないですか?」と聞いてくる《3つの意図》…客「あっても言えない(涙)」

【美容師が解説】「痒いところはないですか?」と聞いてくる《3つの意図》…客「あっても言えない(涙)」

 美容室で、シャンプー中に「痒(かゆ)いところはないですか?」と聞かれた経験はありませんか?「ここが痒いです!」とはなかなか言いにくいこの質問。なぜ聞いてくるのか、元美容師が“3つの意図”を解説します。

「痒いところ」聞いてくる《3つの意図》

 美容室でシャンプーをするとき、たいていの場合「痒いところはありませんか?」と美容師から聞かれるのではないでしょうか。聞かれたとしても、また仮に実際痒いところがあったとしても、痒いところを正確に伝えられるかと戸惑いを覚える人も少なくないかもしれません。筆者は、この質問には「3つの意図」があると考えます。

 一つ目の最も大きな意図は、洗い足りない部分の確認と、シャンプー終了の合図です。つまり「洗い足りないところはないか?」や「気持ち悪いところはないか?」と、同じ意味で使われます。

 では、なぜ「痒いところはないか」という質問になるのか? それは「痒いところはありませんか」という表現が、美容学校や美容室でシャンプーを習う際に定型文のように使われることが多いためです。そのまま使っている美容師も多くいますが、別の表現をしている人もいるようです。

 二つ目の意図は、シャンプーが肌に合わず、痒みが出ていないかを確認することです。特に、初めて来店した客にはその点を気にして聞いています。

 そして3つ目の意図は、コミュニケーションのきっかけを作ることです。「痒いところはありませんか」という質問に限らず、シャンプー中の問い掛けは、美容師と客の会話のきっかけになります。実際に痒いところがなくても、シャンプー中に気になることがあれば、このタイミングで伝えてみると良いでしょう。

 むしろ、シャンプー中に不快なことがあれば積極的に知らせてほしいと美容師は考えています。

 親しい間柄でない人に頭を洗ってもらうのは、緊張したり気を遣ったりするかもしれません。シャンプー中に気になることがあっても、言いづらいと感じる人も多いのではないでしょうか。

 しかし、利用客の声はシャンプーの不足部分を知るための大切な情報となるので、遠慮なく知らせてもらえけるとうれしいです。例えば「流し足りない」と感じた場合には、積極的に知らせてください。美容師側では十分に流せていると思っていても、実際には流し残しがあるかもしれません。

 もし流しが足りなければ、シャンプーやトリートメントが髪に残って痒みの原因になる恐れがあります。カラー後のシャンプーで流しが足りないなら、最悪の場合、汗と一緒にカラー剤が流れてくることも考えられます。

 もちろん、そのようなことがないように細心の注意を払ってシャンプーをしていますが、美容師も人間ですので完璧ではありません。ですから「洗い足りない」「流し足りない」「痒い」など、気になる点があれば、積極的に知らせてくれると助かります。

 他にも、「気分が悪い」「首や腰が痛い」などあれば、体勢を変えてみたりシャンプーを早めに切り上げたり、柔軟に対応ができますのでシャンプー中であっても我慢せずに伝えてください。

 不快感を伝える以外にも、快適なシャンプーを求めて要望を伝えるのも問題ありません。筆者が働いていた美容室で、実際にあった注文では、

「男性の美容師にガシガシ洗ってほしい」「男性の手は苦手だから女性にお願いしたい」「冷水でお願いします」「できるだけ高温で洗って」「顔にのせる紙は置かないで」「爪で力いっぱい洗って」

などといった注文がありました。驚くような要望もありますが、美容室では可能な限り対応しておりました。美容室にもよりますが、シャンプーに料金が発生するお店がほとんどだと思います。お金を払っているのですから、少しでも気持ちよくシャンプーを受けられるといいです。

「シャンプーはリラクゼーションの一環」と考える美容室は多く、ヘッドスパに力を入れているお店も増えています。多くの美容師は、見た目だけでなく心もリフレッシュしてほしいと考えていますので「これ言っていいのかな?」といった要望も、相談してみることをおすすめします。

(蛯原もえ香)

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