寝かしつけの時の、子どもから見た風景
同じことをしていても通常、親と子では違う風景が見えているものです。例えば遊園地に行ったとして、子どもにとっての最大の関心は楽しげなアトラクションかもしれませんが、親にとっての最大の関心は、アトラクションではなく、それで遊ぶ子どもの姿にあります。親が楽しそうにしているかどうかに関心を払う子どもは、あまりいないでしょう。親と子では、物事に対する姿勢や扱い方に違いがあって当たり前だと思います。
だからこそ時折、子が親のように振る舞っている姿に出合うと、なんだかチグハグな感じがして、おもしろくなってしまいます。今回は、まさにそんな瞬間を描きました。
寝かしつけているつもりが
私はととを寝かしつけているつもりでしたが、どうやらととにとっては逆だったようです。うまく寝つくことのできない父のために、自分の眠りを先送りにしてまで、あやしてくれたのです。それは恐らく、私や妻から繰り返しされてきたことの真似でした。
漫画ではコマの都合上端折ったのですが、この時のととの動きで印象的だったことがあります。ととは私と目が合い、私がまだ起きていることを確認すると身を起こし、私のところへと向かう前に一度、体を伸ばしながら深く「ふー…」とため息をついたのです。
これはまさに私や妻が寝かしつけに苦戦している時に、一向に子どもが寝付かない状況に対して「やれやれ」といった気持ちでやりがちな動きです。ととはそんな細かい動きまで観察して、見事に真似してきたわけですね。まるで自分の姿を鏡ごしに眺めているかのような瞬間でした。ただ、ため息をつくという行為はあまり褒められたものではありません。
子どもには、こんな風に見えているのかと、おかしくありつつも反省させられました。
<ライター/パパ頭>
高校で倫理を教えつつ、妻子との暮らしを描いた漫画を執筆、SNSで公開中。おっとり優しい長男と元気で愛嬌のある次男とに囲まれ、賑やかな毎日を送っている。著書は『パパが育休とってみたら妻子への愛が深まった話』(KADOKAWA刊)
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