肺がんは初期段階では症状が乏しく、自覚症状が出現する頃にはかなり進行していることも珍しくありません。
肺で全身の血液のガス交換を行った後、ガス交換を行った血液は全身を巡ります。
そのため、ガス交換を行った血液には肺のがん細胞が混じっている可能性があり、全身に転移を起こすことが考えられるでしょう。
今回は、そのような肺がんの転移しやすい部位や余命について解説します。
≫「肺がんステージ4の余命」はご存知ですか?ステージ4の症状も解説!【医師監修】
監修医師:
山下 正勝(医師)
国立大学法人鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科勤務 / 某一般歯科7年勤務 / 国立大学法人山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師
保有免許・資格
歯科医師
日本外科学会外科専門医
緩和ケア研修修了
JATEC(外傷初期診療ガイドライン)コース修了
NST医師・歯科医師教育セミナー修了
嚥下機能評価研修修了
肺がんとは
肺がんは組織によって分類することができ、分類は以下の4つです。
小細胞肺がん
扁平上皮がん
肺腺がん
大細胞肺がん
組織型によって、それぞれ治療法が異なります。これは小細胞肺がんの場合、抗がん剤や放射線療法が奏功するなど組織型によって、奏功する治療法があるからです。
また、肺がんに限ったことではありませんが、がんの進行具合に応じてステージが設定されています。それが以下の4つです。
ステージ1
ステージ2
ステージ3
ステージ4
ステージ1・ステージ2は肺のなかにがんが止まっていますが、ステージ3・ステージ4は肺以外のリンパ節やほかの臓器にまで転移している状態のことを指します。ステージ1・ステージ2では、自覚症状に乏しいですが、ステージ3・ステージ4になってくると血痰や咳嗽など自覚症状が出現するようになるでしょう。
そのため、ステージ1・ステージ2の早期の状態で発見することが難しく、症状が出現して受診する頃にはかなり進行していたということもめずらしくありません。
肺がんの手術をした患者さんで5年生存率をみたとき、ステージ1では74.8%~91.6%と高いですが、ステージ4では36.0%程度になります。そのため、肺がんの治療では早期発見・早期治療が重要であり、症状を自覚した場合は早めに受診する必要があるでしょう。
肺がんの転移後の余命は?
医師から告げられる余命とは、その患者さんと同じようながん種・ステージの方が診断されてから死亡するまでの生存期間のデータをもとに告げられています。
データのなかで余命の指標の一つにしているのが、生存率です。ここでは、ステージ3・ステージ4の生存率について紹介します。
ステージ3の生存率
ステージ3の1年生存率は69.3%となっており、一つ手前のステージであるステージ2の1年生存率と比べると15%程度低いです。がんの治療において、5年間再発がなければ治癒したと考えられており、5年生存率が高い程生命を救える可能性が高いです。
そのなかで、ステージ3の肺癌の場合は25.3%となっており、4人に1人は肺癌と診断されてから5年を迎えることなく亡くなってしまいます。
ステージ4の生存率
ステージ4の5年生存率は6.4%とかなり低いです。1年生率でも39.1%とステージ3の1年生存率と比べても半分程度まで落ち込んでいます。
この結果からみても、がんの治療においていかに早期発見・早期治療が重要かわかると思います。
配信: Medical DOC