緑内障の手術以外の治療として代表的な薬物治療、レーザー治療について、神楽坂みなみの眼科の南野先生に詳しく解説してもらいました。点眼薬の副作用やレーザー治療の流れとは?
※この記事はMedical DOCにて【「緑内障」を眼科医が基礎から解説 白内障との違いは? 症状・治療・手術について知る】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
南野 麻美(神楽坂みなみの眼科)
日本医科大学卒業後、同大学付属病院眼科、東京警察病院、二本松眼科病院、日本医科大学付属病院 眼科非常勤講師を経て、2012年5月、神楽坂みなみの眼科を開院、院長となる。
編集部
緑内障には、どんな治療法があるのですか?
南野先生
先述の通り、狭くなった視野を元に戻したり、視力を改善したりなど、緑内障自体を完治させることはできません。眼圧を下げて視力や視野を維持することが目標となります。あくまでも治療は、緑内障の進行を遅らせるためのものです。治療法は薬物治療、レーザー治療、手術治療の3つがあります。
編集部
薬物治療はどのようなものですか?
南野先生
まずは「房水の排出を促す」目薬や、「房水の産生を抑える」目薬などを使います。点眼回数は1日1~2回ですが、1つの点眼薬で十分に眼圧が下がらない場合は、複数を組み合わせて点眼していただきます。
編集部
点眼薬に副作用はありますか?
南野先生
点眼薬の眼圧下降効果や副作用ともにかなり個人差がありますので、様子を見ながら一剤ずつ慎重に投与していく必要があります。
編集部
では、レーザー治療について教えてください。
南野先生
眼圧をコントロールしている房水は隅角から目の外に排出されるのですが、この隅角が狭くなって房水が排出されにくくなり、眼圧が上昇する閉塞隅角緑内障と、隅角は広いが排水路の目詰まりが原因で眼圧が上昇する開放隅角緑内障があります。閉塞隅角緑内障は、隅角を広げるために虹彩の根もとにレーザーで小さな穴をあける治療(レーザー虹彩切開術)を行ったり、ほかには早めに白内障の手術をしたりします。
編集部
開放隅角緑内障のレーザー治療は?
南野先生
開放隅角緑内障は房水の排水路にあたる線維柱帯というところにレーザーを当てて目詰まりを取り、房水の排出をスムーズにして眼圧を下げる治療(隅角光凝固術)をします。隅角光凝固術は昔から行われていますが、最近では目詰まりを起こしているところだけに作用するSLT(選択的レーザー線維柱帯形成術)が使われるようになり、治療成績が向上しています。点眼薬が目に合わない方や毎日点眼するのが困難な方、薬物治療だけでは十分眼圧が下がらない方、妊娠をご希望の方にお勧めです。
編集部
レーザー治療はどのような流れで行われるのですか?
南野先生
点眼麻酔を行い、治療専用のコンタクトレンズを目に装着してもらって行います。所要時間は10分ほどで、痛みもなく終了します。
配信: Medical DOC
関連記事: