東京都医師会の尾﨑治夫会長は、東京都の新型コロナワクチンの定期接種について「自己負担は2500円程度に抑えたい」という考えを示しました。この内容について小幡医師に伺いました。
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監修医師:
小幡 史明(医師)
自治医科大学医学部卒業 / 現在は医療法人静可会三加茂田中病院、医療法人在宅会みんなのクリニック勤務 / 専門は総合診療科、腎臓内科、感染症科
東京都医師会が新型コロナワクチン費用に関する言及内容とは?
東京都医師会の尾﨑会長が新型コロナワクチン費用に関して言及した内容について教えてください。
小幡先生
今回紹介するニュースは、2024年9月10日に開かれた東京都医師会の尾崎会長が話した内容が元になっています。尾﨑治夫会長は、最近の新型コロナウイルスの感染状況を念頭に「感染者数が比較的高止まりのまま冬の流行に移行する懸念がある。秋の新型コロナウイルスワクチンの定期接種は、特に65歳以上の方、60歳以上で重症化しやすい基礎疾患のある方が対象になるので接種していただければ」とワクチン接種についての考えを示しました。
ワクチン接種の費用をめぐっては、新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行したことで無料接種ではなくなりましたが、尾崎会長は「以前のように無料ではないけれども、インフルエンザワクチン・新型コロナウイルスワクチン合わせて5000円以内で接種できるような形になってきている」と述べました。この自己負担額の考え方について、尾崎会長は「区市町村によって違いはあるが3500円程度の補助を考えている自治体が多く、さらに1000円を東京都が補助することが決まったので、自己負担額は2500円程度で新型コロナウイルスのワクチンを接種できるのではないか。インフルエンザワクチンも2500円程度なので合わせて5000円以内で、従来考えていたよりは安価な料金でワクチン接種ができる」と説明しています。
また、現在流行しているウイルスについては「ほとんどJN.1から派生した変異株でKP.3が主流になってきている。今度のワクチンはJN.1対応のワクチンなので、従来のワクチンより予防効果が高いと思う。前回のワクチン接種から半年~1年が経過している方ばかりなので、恐らくかなり抗体価が減少していると思う。ぜひ冬に備えて接種してほしい」とコメントしました。
東京都医師会がほかに訴えた内容とは?
会見では、ほかにどのようなことが述べられたのでしょうか?
小幡先生
会見では、東京都が抱える医療の課題についても言及されました。医療機関の財政については「今、相当な物価高騰で医療機関もかなり苦労している。その対策として東京都が89億円の補正予算を組むことが決まり、一時的ではあると思うが救われることに感謝している」と述べています。
また、今後の医療について「来年2025年には、団塊の世代の方が全て75歳以上の後期高齢者になる。その対策として、地域包括ケアシステムの必要性をずっと訴えてきた。これから複数の疾患を抱え、なおかつ心身の衰えや認知症が発症し、外来に通院できる方が減少して、自宅で在宅医療を受ける方がどんどん増えてくる」との認識を示しました。その上で「私どもはそうした方々を24時間見守る体制を作ろうとしている。訪問診療の先生だけが頑張れば救えるという問題ではなく、本当に必要になってくるのが地域の中小の民間病院。もちろん大学病院や都立病院も必要だが、そういった医療機関は三次救急で高度な医療を担っているので、なかなか複数の病気を抱えて介護が必要な高齢者を受け入れる対象にはならない。これまで以上に必要性が高まってくるにもかかわらず、その地域を支える病院が大変な経営危機に陥っている」と課題意識を述べました。
配信: Medical DOC