●検索履歴に「USJ 痴漢」とあった
USJ内でおこなわれたとされる痴漢行為について、新たな事実が明らかになった。
実は、痴漢被害をうったえた10代少女の母親がその場で男を問い詰めていたのだ。その過程で、男は逃走。警備員に取り押さえられたという経緯があった。このとき、男は犯行を認めていたが、裁判になって翻した。
逃走の理由について「過去の性犯罪の事件もあるので捕まれば、無罪であっても言い分は聞いてもらえず逮捕されてしまう。なので逃げるのが一番良いと考えた」と説明した。
検察側は、押収した男のスマートフォンから施設の来園前に、インターネットで「USJ 痴漢」で検索していた履歴を発見した。そのため、痴漢が計画的であったと主張した。
一方の弁護側は、ただのネットサーフィンの域を超えないと反論。被害女性の証言も「警察に誘導されて供述したもので、証言はあいまい。信用ができない」と主張した。
未成年が被害にあうと、一貫性がなくて証言として採用されづらいケースがある。筆者には、そこを突いた法廷戦術のように思えた。もちろん正当な弁護活動の一環だろうが、場合によっては、被害者を貶める側面もある。
わが娘が痴漢されていたと聞いて、男を呼び止めて必死に問いただした母親の姿が頭に浮かんだ。一方、男は口をとがらせて無罪を主張する。鋭い目つきで語る彼の姿に筆者は身震いした。
渋谷の痴漢行為についても、目撃者の足立さんが立っている位置から痴漢行為がきちんと確認できたかあやしい、誤解があった可能性があると反論した。
また、被害女性が「尻を触られた」というのに対して、足立さんは「ちょんちょんと触っていた」と述べたため、証言が一致しないので、痴漢もおこなわれておらず、無罪であると主張した。
●1審・2審ともに「有罪判決」を下した
今年3月、男に懲役10カ月の有罪判決が下った。
3つの事件のうち、渋谷の痴漢事件とUSJの盗撮事件について、罪が認められた。渋谷の痴漢行為については、目撃者がいて、その証言に疑う余地がないことから客観的に明らかであると判断された。
また、USJの盗撮についても、ズーム機能でカメラのサイズを調整していることや、撮影するときに下着が見えていたことは明らかであると認定された。一方、USJの痴漢については、証言があいまいという理由で無罪とされた。
男は控訴したが、大阪高裁は今年9月、大阪地裁の判決を支持する有罪判決を下した(上告なく判決確定)。渋谷に靴を脱ぎ捨てて逃げてからおよそ2年。最後まで謝罪や反省の弁は聞かれなかった。
そう遠くない未来、真顔で絶対やっていないと訴えた”メガネ男”がシャバに戻ってくる。今度こそ更生して戻ってくることを期待したい。
配信: 弁護士ドットコム