血液検査の前に避けるべきNG項目とは?Medical DOC監修医が採血を控えた前日&当日の食事やお酒・水分・運動などの注意点を解説します。
≫「血液検査」で何がわかる?検査でわかる病気や項目について医師が徹底解説!
※この記事はMedical DOCにて『「血液検査の前にやってはいけないこと」は何?前夜の食事・当日のNG行動も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
伊藤 陽子(医師)
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
血液検査でわかる病気・疾患は?
ここではMedical DOC監修医が血液検査でわかる病気・疾患について解説します。
貧血
貧血とは、血液中のヘモグロビンが正常値以下に減少した状態です。血液検査でこのヘモグロビンの低下がないかを調べることで診断ができます。軽度の貧血や徐々に進行した貧血では症状がないことが多いです。重度の貧血になると息切れや動悸、だるさなどがみられます。女性の貧血の原因の多くは、鉄欠乏性貧血です。生理での出血と食事からの鉄分の供給のバランスが崩れ、貧血となる方が多いです。そのほかに、消化管出血(胃や大腸からの出血)や血液疾患により貧血が起こることもありますので、異常がある時にはまず内科を受診しましょう。
糖尿病
糖尿病とはインスリンの作用不足により慢性的な高血糖状態となる病気です。血液検査では、血糖値の上昇や過去1,2か月間の平均血糖値を表すHbA1cが高値となります。糖尿病は自覚症状に乏しい病気ですが、そのまま放置することで様々な合併症を来たします。血液検査で異常値が出た場合には早期に内科を受診しましょう。
高脂血症
血液中の脂質(LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)の値が基準値から外れた状態を高脂血症(脂質異常症)といいます。これらの異常が持続すると、動脈硬化が進行するため注意が必要です。高脂血症では、自覚症状はありません。しかし、高脂血症が持続することにより動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞など命にかかわる病気を発症することもあります。血液検査で異常を認めたら、内科を受診し食事・生活習慣の見直しを行いましょう。
甲状腺疾患
甲状腺とはのどぼとけの下にある臓器で、甲状腺ホルモンを分泌しています。甲状腺ホルモンは、代謝の活性化や成長を促す役割がある重要なホルモンです。甲状腺ホルモンが多すぎても少なすぎても異常をきたします。甲状腺ホルモンが過剰な状態を、甲状腺機能亢進症といい、動悸や体重減少、手の震えなどが起こります。反対に甲状腺ホルモンが少ない病態が甲状腺機能低下症であり、だるさやむくみ、体重増加や動作が緩慢となることが特徴です。これらの病気は、バセドウ病や橋本病という自己免疫疾患が原因であることが多く、女性に多い疾患です。これらの症状が疑われる場合には、採血で甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定することで診断がつきます。甲状腺疾患が疑われた場合には内科(内分泌内科)を受診しましょう。
肝機能疾患
肝機能疾患は血液検査を行うことで異常が分かります。健康診断の項目にも含まれているASTやALT、γGTPの上昇がある場合には肝機能障害の疑いがあります。肝機能障害の原因はさまざまです。B型肝炎やC型肝炎などのウイルス性肝炎、アルコール性肝炎、薬剤肝炎、自己免疫性肝炎、肥満や糖尿病、高脂血症に伴う脂肪肝などがあります。原因により治療法は異なります。肝機能障害が認められた場合には、消化器内科を受診しましょう。
腎機能疾患
腎臓病には数時間から数日の間に腎機能が悪くなる急性腎障害と慢性の経過(3か月以上)で蛋白尿などの腎臓の障害もしくは腎機能の低下が持続している慢性腎臓病があります。どちらの病気でも腎機能が低下すると、血液検査でクレアチニンや尿素窒素(BUN)の上昇がみられます。これらの病気の原因は、腎炎や生活習慣病(糖尿病、高血圧、高尿酸血症など)、自己免疫疾患などです。腎機能の異常を指摘された場合には、まず内科(腎臓内科)を受診し、原因を調べる必要があります。急性腎疾患では進行が早く早めの治療が必要ですし、慢性腎臓病でも早めに治療することで腎機能低下の進行を遅らせることができます。腎機能疾患を指摘されたら早期に病院を受診しましょう。
「血液検査の前にやってはいけないこと」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血液検査の前にやってはいけないこと」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
前日の睡眠不足は血液検査に影響しますか?
伊藤 陽子(医師)
睡眠不足のみでは血液検査に影響することはありません。しかし、健康診断などでは体調を整えて臨む方か良いでしょう。
血液検査の朝は水を飲んでも大丈夫ですか?
伊藤 陽子(医師)
水分摂取は問題ありません。しかし、糖質や乳分が入っているジュースやコーヒーなどを摂取すると血液検査に影響するため、水もしくはカフェインのない麦茶などの摂取がお勧めです。
血液検査の前に食事をしてしまった場合検査は受けられませんか?
伊藤 陽子(医師)
血液検査の項目によります。食事をすることで、血糖値や中性脂肪は高い値が出てしまいます。しかし、食事摂取が関係ない項目もありますので病院へ問い合わせてみましょう。
血液検査前日の飲酒はNGでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
血液検査前日の飲酒が絶対にいけないわけではありませんが、飲酒をすることで肝機能の異常、中性脂肪が上がる可能性があります。
健康診断の空腹時採血は血液検査の何時間前までなら食事可能ですか?
伊藤 陽子(医師)
健康診断で空腹を指示された場合には一般的に採血より10時間以上の絶食をするように言われています。10時間以上前に食事を食べ終わるようにしましょう。
採血・血液検査の前に煙草を吸っても良いですか?
伊藤 陽子(医師)
普段から喫煙している人では、血液検査の前の喫煙によって急激に検査結果が変わることはありません。しかし、健康のために禁煙をお勧めします。
配信: Medical DOC