子宮がんの治療
子宮がんでは、進行度(ステージ)や年齢、妊娠希望の有無などを考慮のうえ治療法が選択されます。
子宮体がんのステージは、Ⅰ期(ⅠA期・ⅠB期)・Ⅱ期・Ⅲ期(ⅢA期・B期・C1〜2期)・Ⅳ期(Ⅳ期A期・B期)に分けられます。
一方、子宮頸がんのステージは、Ⅰ期(ⅠA1〜2期、ⅠB1〜3期)・Ⅱ期(ⅡA1〜2期、ⅡB期)、Ⅲ期(ⅢA期・B期・C1〜2期)・Ⅳ期(Ⅳ期A〜B期)に分けられ、それぞれ以下のような治療が選択されます。
子宮体がん
子宮体がんの治療には、手術、抗がん剤治療、放射線治療の3つがあります。一般的に、手術が可能であれば、子宮・卵巣・リンパ節を切除する術式が考慮されます。近年では、早期がんにおけるロボット手術や腹腔鏡を用いた手術など身体への侵襲が少ない手術も行われています。
一方、手術を行なってもがんを取り除くことが困難な場合などは、抗がん剤治療や放射線治療が考慮されます。妊娠を希望する場合には、子宮を温存するためホルモン剤での治療が考慮されるケースもあります。ただし、ホルモン剤での治療は発症初期の一部の子宮体がんのみが適応となります。
子宮頸がん
子宮頸がんの治療では、手術・抗がん剤治療・放射線治療を単独または併用で行われます。
子宮頸がんを発症する前の「高度異形成」の段階や、ステージがⅠA1期の場合には、一般的に手術の適応となります。妊娠の希望がある場合には、子宮の入り口付近のみを切除する術式(子宮頸部円錐切除術)が考慮されます。異形成の段階では、患部をレーザーで焼く治療が行われるケースもあります。一方、妊娠の希望がない場合には、子宮を摘出する術式(単純子宮全摘術)が考慮されます。
ステージⅠA2期〜2B期の場合には、子宮や腟の一部、卵巣、リンパ節などを広範囲に切除する術式(広範子宮全摘術)が考慮されます。妊娠の希望があり、可能な場合には子宮体部を残して子宮頸部とその周囲のみを摘出する術式(広範子宮頸部切除術)が選択されることもあります。
手術を希望しない場合には、放射線治療を単独で行なったり、放射線治療と抗がん剤治療を併用して行なったりすることもあります。
ステージⅢ期・Ⅳ期、再発した時の治療では、一般的に手術は行わず、抗がん剤治療や放射線治療を単独で行なったり、併用して行なったりする治療が考慮されます。病状が進行したことで痛みなどの苦痛を伴う場合には、麻薬などを用いた緩和治療が行われることもあります。
子宮がんになりやすい人・予防の方法
以下のような人は子宮がんになるリスクが高まります。
出産経験がない
月経異常がある
ホルモン治療を受けている
肥満である
家族内にがんを発症した人がいる
ヒトパピローマウイルスに感染している
今のところ、子宮体がん特有の検診や予防法はありません。
しかし、がん全体の予防としてバランスの良い食生活や節度ある飲酒、禁煙、適正体重の維持、感染予防が有効といわれています。また、不正出血などの異常を認めた場合には、速やかに医療機関を受診することで子宮体がんの早期発見と早期治療につながります。
一方、子宮頸がんには検診があり、原因となるヒトパピローマウイルスの感染を予防するためのワクチンも存在します。一度でも性行為をしたことがある人は、定期的に子宮頸がんの検診を受けることが推奨されています。
子宮内膜増殖症
ヒトパピローマウイルス感染
参考文献
国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス「子宮体がん(子宮内膜がん)について」
国立研究開発法人国立がん研究センターがん情報サービス「子宮頸がんについて」
公益社団法人日本産婦人科学会「子宮頸がん」
公益社団法人日本産婦人科学会「子宮体がん」
千葉大学医学部附属病院「子宮内膜増殖症・子宮体がん」
配信: Medical DOC
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