「高山病」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

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高山病の治療

登山中に高山病の疑いがある場合は、速やかな下山が必要不可欠です。下山の際にも、一人では下山せず誰かに付き添ってもらいます。できるだけ低地に移動し、身体が楽になるまで安静および酸素の投与を行ってください。

薬物療法として「アセタゾラミド」の服用が有効です。アセタゾラミドは治療薬としてのみならず、予防薬としても使用されます。
脳の血管を拡張して脳血流を増加する作用があり、高山病で生じる脳の低酸素状態の改善が期待できます。利尿作用もあるため、高地肺水腫や高地脳浮腫に対しても効果が期待できます。また、血液のPHが下がり、呼吸中枢を刺激することで呼吸数も増加します。

薬剤は他にも、山酔いや高地脳浮腫に効果が期待できるデキサメタゾンがあります。高山病による症状の改善は期待できますが、アセタゾラミドのように環境に適応するような効果は期待できません。

高山病になりやすい人・予防の方法

高齢者や小さな子どもは高山病の発症リスクが高まります。高齢者は、加齢によって各器官の機能が低下していること、小さな子どもは各器官が発達しきれていないため、環境に適応しにくいことで高山病を発症しやすくなります。

高山病の発症を防ぐためにも、高齢者や小さな子どもは高所に行かないことが望ましいです。もし高所に行く場合は、高山病を考慮した十分な計画に加え、体調を悪化させない予防策の実施が必要です。

具体策としては、標高3000m以上になったら上げる高度を1日300m未満に抑える、高所では水分が失われやすいため水分補給を十分行う、高所に行く3日前まで予防薬(アセタゾラミド)を服用する、事前に健康診断を受けて体調に問題がないかを確認しておく、高所ではアルコールや睡眠薬などの服用は避けるといったことが挙げられます。

低気圧と低酸素状態の環境に適応できていないことが高山病発症の一つの原因のため、必ず高度はゆっくり上げていくようにしてください。

また、低気圧や低酸素状態で起こるのが高山病のため、トレーニングによって高山病になりにくくなることはないと念頭に置いておいてください。そのうえで、前述の予防策を実行し、高山病が生じた場合は迅速に対処することが大切です。

関連する病気低酸素脳症

低酸素血症

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

過換気症候群睡眠時無呼吸症候群肺水腫

脳浮腫

肺動脈性高血圧症

参考文献

厚生労働省検疫所 FORTH「高山病」

National Library of Medicine「Acute Mountain Sickness」

一般社団法人 日本登山医学会「急性高山病」

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