どんなときでも食べて、生きないといけない
夏は南雲家に海を迎えにいき、3人でいれなくてごめんねと謝る。そして、海のさみしさを、弥生や津野(池松壮亮)で埋めてもいいと寛大な心を示す。どこに行っても誰に会ってもいい。海がどこかに行っても、海がさみしくなくなることを待っているよ、と懐の大きくなった夏。
海がはめた水季の形見の指輪を見ながら、確かに水季がいたことを確かめあう夏と海。このときの目黒蓮の横顔が最高によかった。吹っ切れた!という感じ。最終回の夏は成長していた。
伝言係を立派につとめた弥生は、ひとりでコロッケを作って食べている。
朱音が海苔を巻いたおにぎりを夏に持ってくる。
「健康でいてね。海にごはんを食べさせるためにあなたがちゃんとご飯を食べて。健康でいて」
どんなときでも食べて、生きないといけない。
最終回は「食べる」がひとつのモチーフになっていた。おにぎりもロールキャベツもかぼちゃもじつに美味しそうに映っていた。
ここまではすごくやさしい世界。日曜日、夏が仕事で海を留守番させないとならないとき、津野くんに甘えることにする。ここからやや流れが転調する。
「はいかいいえで答えられることなんてない」
呼ばれてやって来た津野は「意地悪なので」とケーキを自分と海の分、2個しか買ってこなかった。そこへ弥生が来て、「ここにこの3人でいるのへんですよ」と津野が遠慮して帰ろうとしたとき、大和(木戸大聖)もやって来る。夏の不在の部屋に奇妙な4人組。夏のケータイに津野が撮った海と弥生と大和が、分けたケーキの前で楽しそうに映っている写真が送られてきた。
津野が帰るとき海が追いかけてきて、津野と水季の時間を夏には内緒と微笑み合う。
「ひとりで生んでなかったら、津野さんとも会えてないですもの」なんて水季が意味深に言ったあと、「違いますよ」と期待させないようなことを付け加え「違うんだ」と拍子抜けする津野。こんな思い出が津野にはあった。これかなり仲良いなあと思うし、秘密の思い出として残っていくのだと思う。
夏の部屋に残った大和は弥生に「当分ないと思いますけど彼女できたら教えますね」と言い弥生は「お願いします」と返す。夏と弥生、すぐ元サヤに戻りそうだと思いきや、そうでもなさそうな雰囲気。
でも、はじめて夏の部屋に泊まったときのことを弥生は思い出す。帰りにばったり夏と会い、送ってもらう。はっきりしない関係性は、「はいかいいえで答えられることなんてない」という弥生のセリフに集約される。
津野と水季も弥生と夏も、海のはじまりが曖昧なように、波と砂が溶け合いにじみ合い、近づいたり離れたり、やさしくなったりいじわるしたり、心は定まらない。
配信: 女子SPA!