フリーランスとして独立したが、1年で廃業する人は3割以上、10年継続している人は1割程度というデータがある。また、フリーランスで稼ぐには、できるだけ高単価な仕事を大量に受注しなければならない。しかし、1人でこなす仕事量には限界があり、競合フリーランスがいる以上、価格競争に巻き込まれることもある。フリーランスになった人が、稼ぐことをゴールにするにはどうしても限界がある。
そこでフリーランスでありながら、フリーランスの元締めのような存在である「オーナーフリーランス」という新しいビジネスモデルを提案するのが、『フリーランスになって、「こんなはずじゃなかった!」と思ったら読む本』(北野哲正著、フォレスト出版刊)だ。
本書では、サラリーマン→副業フリーランス→本業フリーランス→オーナーフリーランスというステップをたどってオーナーフリーランスについて解説する。
本書のオーナーフリーランスという概念は、自分以外のフリーランスに仕事を発注する仕組みや最小限の労力で収入を得られる仕組みを持っており、自分自身が働かなくても自分に向かってくる収入源を確保しているフリーランスのことだ。フリーランスと経営者を組み合わせた概念となる。
オーナーフリーランスは大きく分けて3つのタイプがある。1.専門家タイプ本業フリーランスとして抜きん出た専門性、スキル、知識を持っているその分野のパイオニアや業界の重鎮と呼ばれるような人がなりやすい。ただし、特定の分野や業界における相当高い専門性、スキル、知識が求められ、「この人が紹介する人なら間違いない」と考えてもらえるほど、クライアント側と信頼関係を築いている必要がある。そのため、専門家タイプはかなりハードルが高い。
2.ハブタイプ「ハブ」とはコンピュータなどの世界でよく使われる言葉で、複数の端末の間で情報をやりとりするときに利用される「中心」的な役割を果たすもののこと。このタイプは専門家タイプと比べると、専門性、スキル、知識のレベルは高くないが、営業力が非常に高く、仕事をたくさん取ってくることができる人がなりやすい傾向がある。このタイプを目指すには、営業力、高いコミュニケーション能力で人脈をつくることが重要となる。
3.コーチ・コンサルタイプフリーランスとして培ってきた専門性、スキル、知識などを講座などで人に教えることができる人がなりやすい。著者の北野氏は最もおすすめのタイプと述べる。なぜなら、専門家タイプとハブタイプと違って、講座による報酬を稼げるというメリットがあり、ハブタイプのように、他人に仕事を斡旋して手数料を稼ぐこともできるからだ。コーチ・コンサルタイプが仕事を斡旋するのは、自分の講座の元生徒なので、すでに教師と生徒という強固な関係性が築かれているのもメリットとなる。
フリーランスとして働きたいと考えているサラリーマンも多いだろう。すべてを一人で完結するフリーランスではなく、オーナーフリーランスというやり方も考えてみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)
配信: 新刊JPニュース