日本国内のパティスリー、つまりケーキ屋さんで「ヴァンドゥーズ(販売スタッフ)」として人生の半分以上を費やしてきた私は、大のスイーツ好き。1年間休職し、フランスでヴァンドゥーズとして働きつつ、さまざまな地方菓子を食べてきました。今回は、ストラスブールの中心地にある老舗パティスリー「クリスチャン(Christian)」を紹介します。
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ドイツ国境近く、フランス北東部に位置するストラスブールは、アルザス地方の県庁所在地。このストラスブールの中心地にある「クリスチャン」は、1962年創業の地元フランス人に愛される名店です。昔、ヴァンダンジュ(葡萄摘み)の仕事で知り合ったストラスブール出身のフランス人女性が、おすすめのお店だと連れて行ってくれました。
フランスのケーキ屋さんは、大体が大きなガラス張りになっていて、通りに面したショーウィンドウに並んだお菓子を、お店に入ることなく近くで眺めることができます。このクリスチャンも、ショーウィンドウにはシルバートレーに並べられたショコラやタルトがキラキラと輝き、入店する前から期待が高まります。
店内は、美術館の絵画のような天井に重厚感のあるどっしりとした木の壁。とてもシックな店構えで、老舗の風格が漂っていました。手作りジャムは、さまざまなフルーツを組み合わせて作られており、商品名も「サクランボの季節」、「ここからどこかへ」などユニーク。
シルバーのペンでコロンと丸みを帯びたガラス瓶に直接味を書くだけなのに、なんだかとてもお洒落。せっかくなので、イートインでケーキをいただきました。
イートインスペースは、地元のマダムたちで大賑わい。友人たちはシャンパンムースに、コーヒー香るバタークリームのケーキ、私はチョコレートのムースをチョイス。チョコレートのムースはシンプルな見た目でしたが、オレンジコンポートが中に入っていて、チョコレートとオレンジの組み合わせが大好きな私は思わず「あっ」と声を上げてしまいました。
店を出る際、名残惜しくて最後まで店内を眺めていた私。チョコレートにジャム、ケーキの他に、きのこやリンゴの形をした、秋らしいマジパン細工(アーモンドペーストで作られた細工菓子)も飾られており、見ているだけでワクワクしました。見応えのあるストラスブールの街に見応えのあるケーキ屋さん(もちろん、食べ応えも十分でした!)
街歩きに疲れたら、おいしいケーキを食べながらサロンで一休みするのも良いですね。
【クリスチャン(Christian)】
住所:12 Rue de l’Outre 67000 Strasboug
電話:+33 (0)3 88 32 04 41
【コラム&イラスト:Miko】
都内近郊のパティスリーでヴァンドゥーズとして働きながら、フランス語を猛勉強すること約7年。1年間休職し、フランスはリヨンのショコラトリーでヴァンドゥーズとして働いた他、アルザスでヴァンダンジュ(葡萄摘みの仕事)や、ノルマンディー地方の農家で豚の世話も。フランス中の地方菓子を食べ歩いた食いしん坊。現在はフランス人の夫と子供たちと日本で暮らす、現役ヴァンドゥーズ。イラストも勉強中!
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