青春を彩る脇役の脇役、お弁当

普段は見えない、お弁当の時間

そんなことを考えながら、「そういえばうちの中2の息子も、今頃学校で私が今朝作ったお弁当を食べている頃だな」と思い出しました。

うちの子もこんな風に友達とめちゃくちゃ楽しそうに笑いながら、私が作っているお弁当を食べてくれているんだろうか。こんな青春ど真ん中の時間に、私が作ったお弁当があるんだろうか…。そう思ったら少しだけ、今朝作ったお弁当が誇らしく思えました。

毎日毎日、お弁当を作るのは大変です。いや、私は毎日は全然作っていなくて、部活の朝練がある日は食堂へ行ってもらっているし、二日酔いの朝は「今日はこれで…」と昼食代を渡します。(これがしょっちゅうです。)あと、一年半のお弁当作り生活の中で身につけた手抜きテクニックも駆使しています。だとしても、お弁当作りというのは大変なものです。(全国のお弁当作りに追われるみなさま大変おつかれさまです。)

疲れている日の必殺「スープジャーのっけお弁当」

そして誰かに作ったお弁当というのは、食べている姿を基本的に見ることはありません。「会えない時間」の食事です。だから、直接「おいしい!!」という反応を見ることも普段はほとんどないのです。

だけど、この日楽しそうにお弁当の時間を過ごす中学生たちを見ながら、なんだか少し、自分の作ったお弁当を息子が食べている時間のことが、リアルに感じられました。

脇役の脇役だからこそいい

大人と同じように、子どもたちだって、毎日毎日大変なことはたくさんあると思います。難しい授業やハードな部活で疲弊したり、友達とうまくいかない日があったり、理不尽な大人たちとぶつかったり、恋をしたり、恋に破れたり。そしてそれらは大人が感じるよりももっと鋭く、子どもたちの心を揺さぶっていると思います。

そんな中でお弁当を囲む時間は、ほっと息をつける、だからこそ大人になってあとから振り返った時に「青春ど真ん中」だったと感じられる、そんな時間になっているのかもしれません。

そこにあるお弁当はきっと、毎日毎日豪華なものじゃなくても大丈夫。というか、たぶん、お弁当そのものは「脇役」なんだと思います。「脇役の脇役」くらいかもしれません。でも、それでいいんだと思います。それが、いいんだと思います。

軽井沢の「ツルヤ」で買ったレトルトのハンバーグに目玉焼きをのっけたスペシャルロコモコ風お弁当

焼いた鮭と卵焼きだけでも、レトルトカレーをチンしてのっけただけでも、時間がなくてコンビニで調達してもらったものでも。どんなものでも、子どもたちは青春ど真ん中の時間を過ごしているはずです。親と離れて、友達や、自分自身と向き合う時間。子どもたちにとってはその時間こそが宝物です。だからお弁当の中身なんて、正直覚えていないかもしれません。

だけど、自分が作ったお弁当が、そんな時間の脇役の脇役になれるとしたら、それだけでちょっとうれしい。その時間を思うと、なんだか少しだけ、お弁当作りもがんばれそうな気がします。

以前、韓国から帰った翌日に持たせた、買ってきたキンパをつめただけお弁当。先生に「今日のお弁当凝ってるな!!」と言われたそうです。

今日もうちの子は私が寝ぼけ眼で作ったお弁当を持っていきました。昨日ソウルの旅から深夜に帰ってきたばかりで、今朝は起きるのも一苦労といったくらいに眠かったけれど、必殺「保温ジャーでのっけ丼」を10分で作りました。とにかく昼休みに友達とサッカーをすることに命をかけている息子は、きっと10分で作ったお弁当を5分で食べて校庭に駆け出しているのでしょう。それでもあの楽しそうな時間の脇役の脇役に、今日のお弁当がなっているといいなと思います。

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アイスム
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がんばる日も、がんばらない日も、あなたらしく。「食」を楽しみ、笑顔を届けるメディア、アイスムです。 食を準備する人の気持ちが少しでも軽く、楽しくなるように。 おうちごはんのレシピや食にまつわるコラム、インタビューなどを通じて新しい食シーンを提案します。
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