「不育症」が起こる原因を医師が解説 どのような危険因子があるのか

「不育症」が起こる原因を医師が解説 どのような危険因子があるのか

不育症の前兆や初期症状について

不育症の前兆や初期症状はありません。

不育症の検査・診断

2回以上の流産や死産を繰り返した場合は、胎児や夫婦の染色体異常、抗リン脂質抗体の測定、子宮の形態、内分泌の異常を調べる検査を検討します。
検査をおこなっても、リスク因子がわからないこともあります。
特に、加齢とともに胎児染色体異常による流産の割合が上昇するため、夫婦に原因が特定されない場合も多くあります。

流死産児(絨毛)染色体検査

流死産児(絨毛)染色体検査は、流産や死産したときにおこない、流死産の原因が胎児の染色体異常によるものであったか調べる検査です。
胎児の染色体異常があることが判明すれば、流産がほぼ偶発的に起こったものであると診断されます。
また、染色体異常の種類によっては両親のどちらかに均衡型転座があると推測されることもあり、その場合は夫婦の染色体検査を行うこともあります。

夫婦染色体検査

夫婦染色体検査は、採血した血液から染色体の数や構造の異常を調べる検査です。
検査をする前に遺伝カウンセリングを設けており、染色体異常があった場合、夫婦どちらかを特定せずに結果を伝達してもらう選択もできます。

抗リン脂質抗体検査

抗リン脂質抗体を測定する検査で、採血によってループスアンチコアグラントや抗カルジオリピン抗体、抗β2グリコプロテイン抗体のどれかを測定します。
12週間の期間を空けて2回検査し、どちらも陽性だった場合に抗リン脂質抗体症候群と診断します。

子宮形態検査

子宮形態の確認は、子宮に造影剤を入れてレントゲン撮影する子宮卵管造影検査と、生理的食塩水を入れた子宮を超音波で確認する子宮腔内液体注入法、2・3次元の超音波検査をおこないます。
中隔子宮と双角子宮の鑑別には、MRI検査や3次元超音波検査が適用されます。

内分泌検査

甲状腺機能の亢進症や低下症、糖尿病のリスクを確かめるために、血液検査をおこないます。
甲状腺のホルモンの値であるFree T4やTSH、糖尿病の診断材料になる空腹時血糖やHbA1cを調べます。

血液凝固検査

血液を固まらせる働きに異常がないかを調べるために、血液検査をおこないます。
不育症と関連が深いと考えられている血栓性素因の凝固第XII因子活性、プロテインCおよびS抗原・活性などを測定します。

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