「不育症」が起こる原因を医師が解説 どのような危険因子があるのか

「不育症」が起こる原因を医師が解説 どのような危険因子があるのか

不育症の治療

不育症の治療は原因にあわせて、低用量アスピリン・ヘパリン療法や子宮形態の手術、内分泌異常の治療をおこないます。
原因不明や胎児染色体異常による流産や死産の場合は有効な治療がありませんが、偶発的なものである可能性が高く、次回以降の妊娠で過度の心配をする必要もありません。
しかし、加齢では流産リスクが上昇するため、高年齢の女性ほど早めに次の妊娠を考えた方が良いと考えられます。

低用量アスピリン・ヘパリン療法

低用量アスピリン・ヘパリン療法は、抗リン脂質抗体症候群に対して用いられる治療法です。
血小板のはたらきを抑えるアスピリンと、血液の凝固因子を低下させるヘパリンという2種類の薬剤を妊娠初期から投与します。

子宮形態の手術

中隔子宮や双角子宮などの形態異常がある場合では手術をおこなうことがあります。
中隔子宮に適応となるのは子宮中隔切除術で、腹部を切開する方法(開腹術)と、切開しない方法(子宮鏡下中隔切除術)があります。
双角子宮に対しては形成手術をおこない、子宮の形状を修正します。

内分泌異常の治療

甲状腺機能亢進症では抗甲状腺剤によって甲状腺のはたらきを抑え、甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモン製剤によって体内の甲状腺ホルモンを補充させます。
糖尿病の場合は、食事や運動などの生活指導、インスリンなどの血糖降下薬によって血糖値をコントロールしていきます。

不育症になりやすい人・予防の方法

不育症にはさまざまな原因がありますが、なりやすい人の特徴は明確にはわかっていません。
しかし、加齢(特に35歳以上)や喫煙、肥満は流産の危険因子です。

禁煙や規則正しい食事、適度な運動を日頃から心がけましょう。

関連する病気

流産

死産

早期新生児死亡

早産

不妊症

抗リン脂質抗体症候群

中隔子宮

双角子宮

甲状腺機能亢進症甲状腺機能低下症糖尿病

参考文献

日本不育症学会不育症について

一般社団法人日本生殖医学会生殖医療Q&Aよくあるご質問

日本周産期・新生児医学会反復・習慣流産(いわゆる「不育症」)の相談対応マニュアル

公益社団法人日本産婦人科医会5.子宮疾患

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