膵臓がんとは、どのような特徴のあるがんなのでしょうか。治りにくく、治療が難しいというイメージがあるかもしれません。
膵臓に発生するがんであることはわかっていても、特徴や余命についてなど詳しいことはわからないという場合もあります。
この記事では、膵臓がんの痛みが出る場所についてを中心に、どのような病気なのか・初期症状・生存率について解説します。
≫「膵臓がんの症状」はご存知ですか?初期症状・末期症状も医師が徹底解説!
※この記事はMedical DOCにて『「膵臓がんを発症すると感じる痛みの場所」はご存知ですか?初期症状も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
膵臓がんとは?
膵臓がんは、多くは膵管という場所で発生し、ほとんどが腺がんです。膵臓にがんが発生したとしても、小さいうちは無症状であることが多いです。このため早期での発見が難しいといわれています。
70〜80%の患者さんでは発見されたときにはがんが進行してしまっていて、手術が選択できないため治りにくく、治療が難しいイメージがあります。また、ほかのがんに比べて再発率が高いことも治療が難しいといわれる一因です。
ほとんどは腺がんという組織型
膵臓がんの組織型はほとんどが腺がんで、その割合は90%以上に及びます。腺がんとは体を構成する上皮組織の腺組織から発生するがんです。残りの10%未満は希少な膵がんに分類され、さらに10種類以上の組織型に分類されています。
膵管に発生することが多い
膵がんの90%以上は、膵臓の中の膵管に発生します。これを膵管がんといい、通常膵臓がんといわれているのはこの膵管がんのことです。膵臓がんは消化器に発生するがんの中でも治りにくいがんの1つです。
発生率は胃がん・大腸がんなどほかのがんと比べて3分の1程度と低いですが、国内のがんの死亡原因では5位になっています。このことからも膵臓がんは治療の難しいがんであるイメージがあります。
膵臓の周りのリンパ節や肝臓に転移しやすい
膵臓がんは、がんが小さいうちは症状がほとんどないにもかかわらず、膵臓の周りのリンパ節や肝臓に転移しやすいです。周りの組織にがんが転移することで、お腹の中でがんが散らばって転移し腹膜播種が起こってしまうこともあります。
腹膜播種が起こると手術でがんを取り切ることが難しくなってしまうため、治療方法が限られてしまいます。このことも膵臓がんの治療が難しいとされる原因になっているのです。
膵臓がんの痛みの場所について
膵臓に異常があると、背中が痛くなるということを聞いたことがないでしょうか。膵臓の疾患で痛みがある部位はいくつかあり、膵臓がんで痛みが出る場所は以下の部位があります。
腹部
背中
腰
ここでは、このような部位での痛みについて解説します。痛みが出てきた場合には、医療機関を受診して相談をしてみましょう。
腹部
膵臓がんは、腹部の痛みが出ることがあります。腹部の中でもみぞおち辺りに痛みが出て、胃内視鏡検査を行うことが多いです。
しかし、胃には何の問題もないのでそのまま経過観察になってしまうと膵がんが悪化してしまうこともあります。そこで放置せずに超音波検査やCT検査も行うことが膵がんの早期発見につながります。
背中
背中の左側の痛みがある場合、膵臓がんの可能性があります。急激な疼痛は急性膵炎、慢性的な痛みは慢性膵炎・膵臓がんの場合があるので、気になる症状があるときには早めに受診をしましょう。
また背中だけでなく、左肩に向けて放散されるような痛みが出ることもあります。
腰
膵がんの場合、腰痛が出ることもあります。左の背部痛やみぞおちの痛みと違い、疲れや凝りと勘違いして、見落としがちな部位の痛みです。気になる症状があれば、医療機関を受診する必要があります。
配信: Medical DOC