ストレスや不満を抱える母親たちの、心のスキマを埋めるものとは?『恋するママ友たち』著者インタビュー

登場人物に共感してしまう恐ろしさ

――作中には3人のママが登場しますね。1人ではなく、3人の恋模様を描いたのはなぜですか?

吉田いらこさん:色々なタイプの結末を描きたいなと思ったからです。現実では夫にバレて今までの生活が崩壊する人もいれば、上手くやっている人もいますから。そんなリアルさを描きたいなと思いました。

――リアルさというと、日常を切り取ったようなストーリー展開にも現実味を感じました。早紀・美穂・麻衣の三者三様の恋模様が描かれていますが、どれも劇的な出会いやエピソードはありませんね。

吉田いらこさん:このお話は決して他人事ではなく、誰にでも起きる可能性があることだと思います。育児中の女性は忙しいので、基本的に恋愛どころではないはずです。けれども、ちょっとした不満があったりして心に小さな隙間ができてしまったとき、本当にふとしたことで恋愛が始まってしまう。そういう怖さが日常に潜んでいることを描きたいと思いました。

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本作に登場する3人のママのように、「夫以外の人との恋愛なんて、ドラマの中だけの話」「そんな出会いもないし、暇もない」と思っている人がほとんどではないでしょうか。だけど他人事ではなく、誰もが足を踏み入れてしまう可能性を秘めている…。リアルなエピソードに、そんなことを考えさせられる作品です。

取材・文=松田支信

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