監修医師:
山下 正勝(医師)
国立大学法人鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科勤務 / 某一般歯科7年勤務 / 国立大学法人山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師
保有免許・資格
歯科医師
日本外科学会外科専門医
緩和ケア研修修了
JATEC(外傷初期診療ガイドライン)コース修了
NST医師・歯科医師教育セミナー修了
嚥下機能評価研修修了
智歯周囲炎の概要
智歯周囲炎(ちししゅういえん)は、口腔内の炎症性疾患であり、智歯(親知らず)の周囲に炎症が生じることで発生します。智歯が完全に生えきらず、部分的に歯肉に覆われた状態で留まることで、その周囲に食べかすや細菌が溜まりやすくなり、炎症を引き起こします。10歳代後半から萌出の終了す ると考えられる30歳代までが好発年齢とされますが、そのほかの年代においても発症することがあります。
症状としては、局所的な痛み、腫れ、発赤、開口障害などがあり、ほかにも発熱や倦怠感などの全身症状を伴うこともあります。治療法としては、抗生物質の投与や洗浄などの保存的治療が行われますが、再発を防ぐためには智歯の抜歯が必要となることが多いです。
予防法としては、日常的に口腔ケアを行い、定期的に歯科検診を受けることが重要です。また、智歯の萌出状態を早期に把握し、必要に応じて予防的な抜歯を検討することも有効な対策となります。
智歯周囲炎は適切な処置を行えば比較的速やかに改善しますが、放置すると重症化する可能性があるため、症状が現れた際には迅速に歯科医院を受診するのが望ましいです。
智歯周囲炎の原因
智歯(親知らず)は口腔の最後部に位置するため十分なスペースがなく、部分的に萌出(歯が生えること)したり、歯肉内に埋没したりします。これにより、歯と歯肉の間に小さな空間が生じ、食べ物の破片や細菌が溜まることで智歯周囲炎が発症しやすくなります。
通常の歯ブラシでは、この領域を適切に清掃することが困難なため、細菌が増殖し、炎症を引き起こします。また、上顎の智歯が下顎の歯肉を刺激したり、噛み合わせの問題で頬の内側を傷つけたりすることも、炎症の原因となります。さらに、智歯の萌出過程で歯肉が腫れ、周囲の組織を圧迫することも炎症を悪化させる要因です。
個人の口腔衛生習慣、免疫系の状態、ストレスレベルなども智歯周囲炎の発症や進行に影響を与えます。適切な口腔ケアや定期的な歯科検診を行うことで、予防または早期発見につながります。重症化すると、顔面の腫れや発熱などの全身症状を引き起こす可能性があるため、早期の対応が重要です。
配信: Medical DOC