慢性気管支炎の前兆や初期症状について
慢性気管支炎の前兆や初期症状は、人によって異なりますが、慢性的な咳、痰、息切れや喘鳴、胸痛といった症状が現れることがあります。
慢性的な咳
気道が炎症で閉塞してしまうため、常に刺激を受けやすく咳が出やすいです。
痰の量が多いことで痰を出そうと咳をすることもあります。
咳の種類はゴホゴホといった湿った咳です。
痰
繰り返される気道の炎症により、気道の粘膜を守るために痰が出ることが多いです。
痰の種類は、透明でさらさらしていたり、黄色くねばねばしていたりします。
息切れ
気道の閉塞や肺の細胞が破壊されることで、息がうまく吐きにくくなり、運動や階段を上るときに息切れを伴うことがあります。
症状が進行すると、少しの動作でも息切れが伴い、日常生活が困難となる可能性もあります。
胸痛
気道や気管支の炎症では痛みを伴うことはありません。
しかし、呼吸困難による胸の痛みや締め付け感が発生することがあります。
また、咳のし過ぎで胸部の筋肉痛や神経痛を引き起こしている可能性も胸痛の原因の一つです。
喘鳴
気道が閉塞することにより呼吸時にヒューヒューという音が聞こえることがあります。
慢性気管支炎の検査・診断
以下は、慢性気管支炎の簡易な自己チェックリストです。
ただし、自己診断は専門的な医療診断の代わりにはならないため、症状がある場合は医師の診察を受けてください。
3か月以上続く慢性的な咳がありますか?
咳とともに痰が出ることが多いですか?
軽い運動や日常活動で息切れを感じますか?
喫煙者である、または過去に喫煙していたことがありますか?
空気の汚染や化学物質に長期間さらされる環境で生活または働いていますか?
一つでも当てはまる場合は医療機関へ受診を検討しましょう。
慢性気管支炎の診断は、聴診、肺機能検査、画像検査、動脈血ガス分析に基づいて行われます。
聴診
聴診器で胸の音を聴いて、肺や気管に異常がないか確認するのが聴診です。
慢性気管支炎の場合は気道が狭くなってヒューヒューという音が聴取されます。
痰などが気道にあるとブツブツした音が聞こえることもあります。
肺機能検査
スパイロメトリーという機械を使って肺の機能検査を行います。
息を思いっきり吸って吐く検査で、吐いた空気の量や、1秒間で吐いた空気量が全体で吐いた空気のうちどれぐらいの割合か(1秒率)を測定します。
1秒率が70%未満で、気道閉塞の判断基準です。
参考:COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第6版
画像検査
肺の状態を画像で確認します。
レントゲンでは肺の過膨張変化(横隔膜が下がって見えたり、胸郭の前後径が増加したりする)が認められます。
MRIでは肺気腫があると気腫性陰影(肺の細胞が壊れている様子)が確認でき、気腫の範囲によって病型が診断可能です。
動脈血ガス分析
動脈血から採血を行い、血液中の酸素や二酸化炭素の濃度、体内の酸塩基反応を確認します。
簡便に検査できるものとしてパルスオキシメーターがあり、赤い光を当てることで経皮的に動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定します。
慢性気管支炎の場合SpO2は88〜92%を目標数値であり、88%は低酸素血症の診断が考えられます。
参考:COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第6版
配信: Medical DOC