●結局、どうなる?
往来妨害致死傷罪や、危険運転致死傷罪は、あくまでも人の死傷結果が生じた場合に適用されるものです。本動画では、そのまま男は立ち去っているようにも見えます。その結果、誰も怪我も死亡もしなかった場合には、先に説明したとおり、妨害運転罪、往来妨害罪や暴行罪、器物損壊罪が成立するにとどまるでしょう。
このように多数の犯罪が成立する場合、最終的にどのように処理されるのかはなかなか難しいのですが、妨害運転罪、往来妨害罪、暴行罪、器物損害罪はそれぞれ守っている利益(保護法益といいます)が異なると考えられるため、全て起訴されて有罪判決が出た場合には、併合罪(刑法45条前段)となりそうです。
この場合には、懲役刑はもっとも長い場合で、もっとも重い罪である妨害運転罪の1.5倍(7年6月)ということになります(同法47条)。
配信: 弁護士ドットコム