監修医師:
勝木 将人(医師)
2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.
筋強直性ジストロフィーの概要
筋強直性ジストロフィーとは、遺伝性の疾患で筋緊張性ジストロフィーとも呼ばれる難病です。筋ジストロフィー症のなかでも成人に発症する確率がもっとも高く、手足の筋力低下やさまざまな内臓障害がみられます。
筋強直性ジストロフィーはDM1とDM2の2タイプがありますが、日本ではほとんどがDM1です。疾患の原因は染色体の異常で、発症率は10万人に7人程度です。
筋強直性ジストロフィーの症状は「表現促進現象」という子どもが親よりも染色体異常が大きいために、症状が重く早期に発症する現象が起こります。世代が受け継がれるにつれて発症時期が早まるため、親の症状は軽度で病気に気づかず、子どもの発症で気づくことも多いです。
筋肉の萎縮(筋肉が痩せ細っていき力が出なくなること)が特徴的な症状でDM1では体から離れた部位(手指や足など)に多く、DM2では体に近い部位(肩や股関節など)に多くみられます。どちらのタイプも呼吸筋が障害され、嚥下機能(食べ物を飲み込む能力)の低下が見られるのも特徴です。そのほかにも心臓機能や消化機能、記憶などに関わる高次機能などのさまざまな障害がみられます。症状は自覚されないことも多く、軽度の場合気づかないことも珍しくありません。
筋強直性ジストロフィーの原因
筋強直性ジストロフィーの原因は遺伝子の異常変化です。筋強直性ジストロフィー患者の多くが44本ある常染色体のうち、19番目に異常が生じていることがわかっています。
筋強直性ジストロフィーは遺伝子の中にある塩基配列に異常があり、3つの塩基配列に異常があることもわかっています(トリプレットリピート病)。繰り返される3つの塩基配列(リピート)が通常35回程度なのに対し、筋強直性ジストロフィーでは50〜7500まで伸びることが判明しており、。このリピート回数が長くなるほど重症で早く発症します。親よりも子どもの方がリピート回数が長くなるのも特徴ですが、必ずしも全ての症例でみられるわけではなく、父親から子どもへの遺伝の場合はリピート回数が短くなることもあります。
配信: Medical DOC