「ムコ多糖症」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「ムコ多糖症」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

ムコ多糖症の前兆や初期症状について

病型や重症度によって異なりますが、ムコ多糖症の一般的な初期症状として、新生児期に見られる蒙古斑(青あざ)や特徴的な顔貌が見られます。顔立ちに関しては、丸みを帯びており、鼻の広がりや唇の厚さが特徴的で、病気の進行に伴い、徐々に顕著になります。

他にも以下のような症状が見られます。

皮膚症状:臍ヘルニア、鼠径ヘルニア、異所性蒙古斑など

骨や関節症状:関節拘縮、骨変形など

中枢神経症状:神経学的退行、知的障害、精神発達遅滞など

眼症状:角膜混濁、緑内障など

耳鼻咽喉症状:慢性的な鼻漏、巨舌、難聴など

呼吸器症状:気管支の狭窄、閉塞性呼吸障害など

心臓血管異常:心弁膜症など

同じ病型であっても、残存している酵素の機能の違いによって進行速度や症状が現れる時期が異なります。また、単独症状だと他の一般的な病気と区別が難しいですが、複数の症状が同時に現れた場合は、ムコ多糖症である可能性を考えて、早めに診察を受けることが重要です。

ムコ多糖症の検査・診断

症状や身体的な特徴からムコ多糖症が疑われる場合は、尿中ムコ多糖分析を行います。その後、確定診断として、遺伝子検査、酵素活性測定などを行います。

尿中ムコ多糖測定

ムコ多糖が尿中にどれだけ排出されているかどうかを調べることで、ムコ多糖症かどうか、その病型の推測ができます。ムコ多糖が高濃度で検出された場合、ムコ多糖症が疑われます。簡単に検査できるため、早期診断のためのスクリーニングとして広く用いられる検査方法となっています。

遺伝子検査

ムコ多糖を分解する酵素の遺伝子に変異がないかを確認する検査です。酵素の欠損あるいは機能不全の根本的な原因は、遺伝子の変異であるため、この遺伝子検査はムコ多糖症の診断を確定させるのに重要な検査となります。また、診断だけでなく、家族にムコ多糖症の発症リスクがあるかどうかを調べるために行われることもあります。

酵素活性測定

血液や白血球、皮膚細胞を用いて酵素の活性を測定します。遺伝子検査とともに確定診断するために用いられ、ムコ多糖症の病型を特定することが可能です。

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