「ムコ多糖症」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

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ムコ多糖症の治療

ムコ多糖症の治療は、酵素補充療法 (ERT)や造血幹細胞移植が主に行われます。

酵素補充療法は、ムコ多糖症の治療において最も用いられている治療方法です。ムコ多糖症だと診断が確定している場合は、いずれの病型においても適用できます。酵素補充療法では、欠損している酵素を投与することで、ムコ多糖の蓄積を減らし、症状の進行を遅らせることができます。しかし、投与された酵素は短期間で分解されるため、週に1回、静脈注射での投与を永続的に続ける必要があります。中枢神経症状や発達の遅れに対する効果は期待できませんが、心臓や呼吸器など多くの臓器の症状改善に一定の効果が期待できると報告されています。

造血幹細胞移植は、健常者の造血幹細胞(赤血球や白血球、血小板の基になる細胞)を移植することで、体内で正常な酵素を作る方法です。酵素補充療法と異なり、中枢神経症状や発達の遅れに対して効果があると考えられていますが、必ずしも移植可能なドナーが見つかるとは限らないこと、また移植関連死亡など重篤な副作用が生じるリスクがあることを考慮する必要ががあります。

ムコ多糖症になりやすい人・予防の方法

ムコ多糖症は遺伝性の病気であるため、両親が保因者である場合に発症するリスクが高まります。結婚前もしくは妊娠前の遺伝子検査や、妊娠中に胎児の状態を調べる「出生前診断」を行うことでムコ多糖症のリスクがあるかどうかを事前に知ることができます。出生前診断では、羊水や絨毛を調べる検査を通じて、胎児の発症リスクを確認できます。

また、自治体によっては「新生児マススクリーニング」の検査項目でムコ多糖症(希望者のみ有料で実施)が含まれていることもあります。新生児マススクリーニングとは、赤ちゃんが先天性代謝異常などの病気をもっていないかを調べる検査方法です。生後すぐに検査を受けることで、早期にムコ多糖症への罹患を発見し、即座に適切な治療を始めることができます。

関連する病気

呼吸不全

ライソゾーム病

GM1ガングリオシドーシス

GM2ガングリオシドーシス

ムコリピドーシスII型、III型

ガラクトシアリドーシス

ポンペ病

シスチン症

参考文献

日本先天代謝異常学会「ムコ多糖症(MPS)I型診療ガイドライン2020」

日本先天代謝異常学会「ムコ多糖症(MPS)Ⅱ型診療ガイドライン」

厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)「ムコ多糖症診療マニュアル」

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