●量刑はどうなる?
以上のように、現在報道されていることが真実であれば、電磁的公正証書不実記録罪、同供用罪、強制執行妨害目的財産譲渡仮装罪、が成立することになりそうです。
前二者は、嘘の記録を作って閲覧可能な状態にするところまで、全体として一罪となります(牽連犯といいます。刑法54条1項後段)。
また、電磁的公正証書不実記録・供用罪は公文書への社会的信用を保護する規定で、強制執行妨害目的財産譲渡仮装罪は、民事上の強制執行が適切に行われることを保護する規定ですから、それぞれの罪は守るべき利益(保護法益)が異なるといえるでしょう。
そこで「併合罪(刑法45条前段)」となり、最大で重い罪の1.5倍(7年6ヶ月)までの懲役刑となる可能性があります(同法47条本文)。実際にはそこまで重くはならないように思えますが、有罪であれば実刑判決が下されることになりそうです。
なお、羽賀氏は2020年に実刑判決を言い渡され、21年9月に出所しているようですので、そもそも次の判決がその5年後(2026年9月)までに下されるようであれば、原則として法律上執行猶予がつけられません(刑法25条1項)。
執行猶予が法律上つけられる場合となっても、前科との関係で今回も実刑判決が下される可能性が高いでしょう。
また、強制執行妨害目的財産譲渡仮装罪では罰金の併科が可能ですので、さらに罰金刑も下される可能性もあります。
配信: 弁護士ドットコム