耳下腺炎の前兆や初期症状について
流行性耳下腺炎と化膿性耳下腺炎の初期症状は、発熱や片側もしくは両側の耳下腺の腫れと痛みです。
流行性耳下腺炎の場合は、2〜3日後に両側の耳下腺や顎下線にも症状が広がることがあり、噛むときの痛みや食欲不振にもつながります。
反復性耳下腺炎の初期症状は片側の耳下腺のわずかな痛みと腫れで、発熱は伴いません。
耳下腺炎の検査・診断
耳下腺炎の検査では問診や身体診察、血液検査によって、3つの耳下腺炎の判別と診断をおこないます。
問診
問診では自覚している症状だけでなく、流行性耳下腺炎の流行状況やワクチン接種の有無、過去に耳下腺炎を発症したことがあるかなどについて聴取します。
合併症のリスクを評価するために、全身の症状についても確認します。
耳下腺の腫れだけでなく発熱の症状が認められたり、周囲で流行している場合やワクチン接種をしていない場合は流行性耳下腺炎が疑われます。
周囲で流行していない時期の発症や発熱がない場合は、反復性耳下腺炎の可能性があります。
身体診察
身体診察では耳の前と下を注意深く観察して触診し、耳下腺の腫れや発赤、熱感、圧痛の有無とその程度を評価します。
口のなかも観察して膿の排出や、顎下腺と舌下腺の腫れについても確かめます。
流行性耳下腺炎や化膿性耳下腺炎では、耳下腺の腫れに強い痛みが伴うケースが多く、口を開けたり飲み込むときに不快感が起こることもあります。
化膿性耳下腺炎が進行した場合では、耳下腺の開口部から膿が排出される可能性が高いです。
血液検査
血液検査は流行性耳下腺炎の確定診断としておこなう方法で、IgMとIgGというムンプスウイルスの抗体価を調べます。
検査結果でIgMが陽性、IgGが陰性の場合は流行性耳下腺炎と診断されます。
しかし、結果がでるまでに1週間ほどかかるため、問診や身体診察で流行性耳下腺炎の可能性が高いと判断した場合は、血液検査までおこなわないケースがほとんどです。
反復性耳下腺炎や化膿性耳下腺炎の可能性がある場合は、耳下腺の分泌液から細菌培養検査をおこない、原因菌の特定と抗生物質の選択に活用します。
配信: Medical DOC