耳下腺炎の治療
耳下腺炎の治療は3つの病気でそれぞれ異なります。
流行性耳下腺炎の治療
流行性耳下腺炎の治療は対処療法が基本となり、発熱や痛みを抑えるために鎮痛解熱剤の投与がおこなわれます。
痛みによって食事が進まない場合は流動食や柔らかい食べ物を摂取し、十分な水分補給が欠かせません。
髄膜炎が合併して脱水などが見られる場合は、点滴療法などの積極的な治療が必要です。
反復性耳下腺炎の治療
反復性耳下腺炎にはペニシリンやセフェム系の抗菌薬のほか、消炎鎮痛剤を投与します。
再発を抑えるために耳下腺に直接抗菌薬を注入したり、耳下腺内を洗浄することもあります。
化膿性耳下腺炎の治療
化膿性耳下腺炎ではペニシリンやセフェム系の抗菌薬を投与して安静に過ごします。
膿が耳下腺に波打つように見られたり、膿瘍ができている場合は、切開膿瘍術の適応になります。
切開膿瘍術は局所麻酔でおこなわれ、膿を取り除くことで症状の改善が期待できます。
耳下腺炎になりやすい人・予防の方法
耳下腺炎になりやすい人はわかっていませんが、予防法は病気によって異なります。
流行性耳下腺炎の予防で有効なのはワクチン接種で、日本小児学会では1歳以上で計2回の接種を推奨しています。
流行時期には手洗いやうがい、マスク着用などの感染予防対策を意識して予防することが大切です。
流行性耳下腺炎は感染力が非常に強く、学校保健安全法で第2種の感染症と定められています。耳下腺や顎下腺、舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、全身状態が良好になるまで基本的に出席停止となります。
反復性耳下腺炎と化膿性耳下腺炎には明確な予防法はありませんが、口腔内を清潔にしながら唾液の分泌を促すと細菌の侵入を抑えられます。
毎食後の歯磨きを欠かさずおこなって衛生面を保ったり、ガムやレモンなどを摂取して唾液の分泌を促したりすることが効果的です。
関連する病気流行性耳下腺炎
反復性耳下腺炎
化膿性耳下腺炎
木村病
急性顎下腺炎
慢性唾液腺炎
IgG4関連唾液腺炎
参考文献
NIID国立感染症研究所流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)
厚生労働省流行性耳下腺炎
工藤典代, 笹村佳美:反復性耳下腺炎の臨床的検討. 小児耳鼻咽頭科,19(1), 50-55,1998
一般社団法人日本耳鼻咽頭科頭頸部外科学会口腔・咽頭の病気
吉原俊雄:唾液腺疾患の診断と治療. 日本耳鼻咽喉科学会会報, 116,1050-1053,2013
猪川勉:小児反復性耳下腺炎. 口腔・咽頭科, 3(1), 10, 1990
森田華奈子, 小張真吾, 粟生耕太,他:菌血症を伴った黄色ブドウ球菌による化膿性耳下腺炎・膿瘍の女児例―わが国小児例のまとめ―. 小児感染症免疫, 25(3),275-280,2013
公益社団法人日本小児科学会おたふくかぜワクチン
配信: Medical DOC
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