翼状片の治療
翼状片の治療では、一般的に手術が選択されます。
角膜の充血に対してはステロイド点眼薬などの消炎薬を用いることで、症状が軽快することもあります。しかし、翼状片では物理的に角膜が伸び、視力が低下したり乱視が悪化したりします。これは眼鏡などを使用しても矯正することが難しく、根治のためには伸びた結膜を外科的に切除する必要があります。
一般的に、伸びた結膜が角膜の半径1/4以内までの範囲であれば乱視が出現する可能性は低いため、特別な治療はせずに様子を見ることが多いです。
しかし、結膜が角膜中央まで伸びている場合には、重度の視力低下をきたす恐れがあるため、手術の適応になります。
翼状片の手術
翼状片の手術では、伸びた結膜を切除します。
翼状片は結膜下の細胞が異常に増殖することで生じるため、結膜を切除しただけでは高頻度で再発を認めます。そのため、伸びた結膜の切除に加え、結膜下で増殖した細胞を取り除き、その上に周囲の健康な結膜を被せる「有茎弁結膜移植術」という術式で手術が行われます。
このほか、再発予防のため患部に「増殖抑制剤」を塗布したり、術後に患部に放射線を照射する治療が行われたりすることもあります。
繰り返し再発を認める場合や、結膜が角膜中央まで伸びている場合には、通常の手術より結膜の切除範囲が広くなることがあります。そのような場合には、自身の結膜の代わりに「羊膜」という胎盤の成分を移植する手術が行われることもあります。さらに、角膜が大きく欠損している場合には、角膜の移植術が行われるケースもあります。
翼状片になりやすい人・予防の方法
翼状片の明確な原因は明らかになっていないものの、日光に当たる時間が長い人や、風、ほこりなどに晒されることが多い人は、翼状片になりやすいといわれています。
そのため、翼状片の予防には、目に入る紫外線や風、ほこりなどを防御することが重要だといえます。
目を保護するには、帽子やサングラス、日傘などを利用して目を保護すると良いでしょう。近年では、紫外線カット機能があるサングラス、コンタクトレンズが多く販売されているため、そのような物を選ぶことも有効です。
しかし、色の濃すぎるサングラスを使用すると暗さによって瞳孔が開くため、かえって多くの紫外線を目に取り込んでしまう恐れがあります。そのため、紫外線カット機能があっても色の濃すぎるサングラスには注意が必要です。
紫外線はサングラスと目の隙間からも入ってくるため、大きめのものや顔の形にフィットするものを選ぶと良いでしょう。帽子の場合には、つばが広く、目の下まで影になるものを使用することが有効です。
関連する病気
偽翼状片
化学眼外傷
参考文献
公益財団法人日本眼科学会「翼状片」
公益財団法人日本眼科学会「翼状片の発生機序について」
公益財団法人日本眼科学会「眼の構造」
公益財団法人日本眼科学会「白目がぶよぶよになる(結膜腫瘍)原因と考えられている病気一覧」
東北大学医学部眼科学教室「眼の病気Q&A 角膜・ドライアイ」
公益社団法人日本眼科医会「角膜の病気」
日本医事新報社「翼状片(私の治療)」
配信: Medical DOC