場面緘黙症の治療
場面緘黙症の治療では主に行動療法と遊戯療法がおこなわれます。
治療の方針は検査で十分な情報を得た後に、子どもの特性をよく観察しながら保護者との相談のうえで決定されます。
治療の目的は子どもが特定の場面で少しずつ話せるようにすることであり、学校や園での対応が必要なこともあります。
行動療法
行動療法では、不安の低い場面から徐々に高い場面へ話す機会を増やす治療(段階的エクスポージャー)がおこなわれます。
家族との会話で発話ができる状況のなか、少しずつ第三者が交じる状況にするなど、段階的に子どもが人前で話すことに慣れるように促します。
成功体験を積むことで子どもが自信を持ち、徐々に話しやすくなるように支援します。
遊戯療法
遊戯療法は安全で楽しい遊びの環境を通じて子どもの不安を軽減し、自然なコミュニケーションを促進する治療です。
子どもと一緒に遊ぶなかで、徐々に言語的なやり取りを増やしていきます。
子どもがリラックスしやすい環境をつくることで、コミュニケーションに対する抵抗感を減少させる効果があります。
場面緘黙症になりやすい人・予防の方法
場面緘黙症は、言語面や神経発達面に障害がある子どもに発症しやすいことがわかっています。
場面緘黙症の予防法はありませんが、発症した場合は成人後にできるだけ症状を残さないように、幼児期から適切な治療を受けるのが大切です。
言語面の障害
場面緘黙症は言語面の障害によって言葉を表出するのが苦手な子どもに起こりやすいです。場面緘黙症の子どもの約5割が、表現性言語障害や音韻障害などの言語障害があるとわかっています。
神経発達面の障害
場面緘黙症は、対人関係やコミュニケーションなどの社会性の発達が遅れている子どもに発症しやすいです。
場面緘黙症の子どもの約7割が、自閉スペクトラム症や注意欠如多動症などの神経発達面の障害を併発していると報告されています。
関連する病気
不安障害
自閉スペクトラム症
小児期発症流暢症
注意欠如多動症
トラウマ性緘黙
けいれん性発声障害
失声症
吃音小
参考文献
日本場面緘黙研究会場面緘黙症とは
一般社団法人日本小児神経学会小児神経Q&A
矢澤久史:場面緘黙児に関する研究の展開.東海学院大学紀要,2, 179-187,2008
角田圭子:場面緘黙のアセスメントについて.日本保健医療行動科学会年報, 27, 68-73.
H Kristensen: Selective mutism and comorbidity with developmental disorder/delay, anxiety disorder, and elimination disorder,J Am Acad Child Adolesc Psychiatry,39(2),249-256,2000
配信: Medical DOC
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