開放骨折の治療
開放骨折の主な治療は、以下の3つが挙げられます。
救命治療
感染予防
骨折部の処置
救命治療
開放骨折の治療では、第一に救命措置を行います。外傷性ショックを伴う開放骨折では、輸血や人工呼吸管理を行い、命の安全を確保しなければいけません。
感染予防
外傷性ショックの有無に関わらず、感染症の予防も重要です。骨折部が皮膚を突き破る開放骨折では体内組織が空気に触れてしまうため、感染のリスクが高まります。そのため、速やかに創部の洗浄・汚染された組織の切除が必要です。このような感染予防の処置は時間との勝負であり、ゴールデンタイムと呼ばれる6時間以内に処置することが望ましいとされています。
また感染を予防するために、抗生剤も使用します。万が一感染した場合は手術の方法が難しくなるだけでなく、複数回手術が必要になったり、命に危険が及ぶ場合には四肢の切断も検討しなければいけなくなることもあります。
骨折部の処置
救命・感染予防に続いて、骨折部への処置が必要です。開放骨折では骨折部が空気に触れるため、骨髄への感染予防を考えた処置をしなければいけません。
感染の可能性が低い場合(Gustilio分類Ⅰ・Ⅱ・ⅢA)は髄内釘やプレートなどの体内固定術、感染の可能性が高い場合(Ⅲ-B・Ⅲ-C)は骨折部に直接触れることなく骨を固定できる創外固定を選択することが一般的です。感染がなく創部が安定したら、創外固定を外し髄内釘やプレートで再度骨折部を固定します。
さらに開放骨折の治癒過程では骨折部の機能維持・向上のためのリハビリテーションが必要です。リハビリテーションでは関節可動域訓練や筋力強化運動、筋肉の緊張緩和や痛みの軽減を目的とした物理療法を行います。
開放骨折になりやすい人・予防の方法
開放骨折は強い外力が加わりやすい人がなりやすいといえます。具体的には、サッカーやラグビーなど激しいコンタクトの多いスポーツ選手や車・自転車によく乗る人、高所で作業をする人などが挙げられます。
開放骨折を予防する方法としては激しい外力が体に加わらないようにすることです。つまり、コンタクトスポーツでは無駄に相手と接触しないようにすること、車や自転車ではスピードを出さず安全運転すること、高所の作業では命綱をつけ転落を防止することなどが考えられます。
関連する病気
皮下骨折
外傷性ショック
化膿性骨髄炎
感染性偽関節
脛骨骨幹部骨折
上腕骨骨幹部骨折
参考文献
井樋栄二, 津村弘 et al 標準整形外科学第15版 医学書院 2023
骨折日本赤十字社
骨折日本整形外科学会
下腿の骨幹部骨折一般社団法人日本骨折治療学会
相良光利 et al 2006 下腿 開放骨折 の治療 に関する検討 昭和医会 第66巻 第5号
池口良輔 et al 2021 下肢開放骨折後の化膿性骨髄炎に対する遊離血管柄付骨移植術の治療成績 日外傷会誌 35巻 3 号
松本尚也 et al 2014 出血性ショックを伴う再建不能な下腿開放骨折に対する Damage Control Surgery(DCS) 日外傷会誌 28巻 3 号
配信: Medical DOC
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