運動後や走った後に咳が止まらない・子供(小児)で咳が止まらないなど、よくある悩み別の対処法と治し方を呼吸器内科医が解説
編集部
子どもが運動をしたあとや走ったあとなどに咳が止まらないことがあります。
尾上先生
その場合には「運動誘発喘息」の可能性があります。運動誘発喘息は、運動中や運動後に咳が長引いたりゼーゼーしたり、呼吸困難に陥ったりする疾患のこと。子どもに多く発症しますが、大人でも起きることがあります。
編集部
そのような場合にはどうしたら良いのでしょうか? 運動しない方が良いのでしょうか?
尾上先生
基本的に喘息の治療目的は「喘息を忘れた生活ができるようになる」ということ。つまり、「喘息だから」といって運動を中断させるのではなく、「運動を行っても喘息が誘発されないように、しっかり治療を行う」ということが重要なのです。もちろん、運動中に発作が出たときには休息が必要ですが、基本的には、運動を行うことは中断する必要はないと考えています。
編集部
どのように治療を行うのですか?
尾上先生
気管支の炎症を抑えるために、ロイコトリエン受容体拮抗薬の内服薬や吸入ステロイド薬を用います。発作が起きたら運動を中止し、短時間作用性β2刺激薬を使用して発作を鎮めましょう。症状が長引く場合はかかりつけ医を受診してください。
編集部
最後に、MedicalDOC読者へのメッセージがあれば。
尾上先生
症状があってもなくても、喘息は喘息。「症状がないから」といって、自己判断で服薬を中断するのではなく、継続することが大切です。そのために大切なのは、「長い目で人生を考える」ということ。喘息は治療せずにいると将来的に悪化し、今よりもっと苦しくなることが予想されます。特に子どもの場合には、大人がしっかり管理してあげることが大切。子どもの喘息をきちんと治療せずにいると、肺の成長が制限され、将来的に重症化しやすいことがわかっています。反対に、子どものときしっかり治療を行えば、健康な人と同じくらい肺が成長します。子どもが喘息の場合は親がしっかり管理し、自己判断で治療を中断することのないようにしましょう。
編集部まとめ
喘息による発作の頻度は人それぞれ。まったく起きない人もいますし、季節の変わり目など頻繁に起きる人もいます。しかし、いずれの場合でも医師の指示通り治療をしっかり継続することが大切。「長く症状が出ていないから大丈夫」など油断せず、きちんと治療を継続するようにしましょう。
配信: Medical DOC